「低さも美しさも速さも追求!」S15シルビア改『わがまま』ゼロヨン仕様に迫る

とてもドラッグ仕様とは思えない自然体フォルム

ドラスリ装着時のツライチを狙ってフェンダーを鉄板溶接加工

ドラッグ仕様では、荷重をリヤへと瞬時に移動させてトラクションを高めるために、リヤのバネレートを落として車高も高めにセットするのがセオリーだ。

しかし、東北を代表するトップチューナー“プロショップスクリーン”が手がけたS15シルビアは、本気でタイムを狙いに行くドラッグ仕様であるにも関わらず、ドレスアップカー顔負けの低車高にセッティングされている。

トラクションの要となるリヤセクションから見ていく。フュージャーのドラッグラジアル(275/40-17)を履いた時にツライチになるよう加工されたリヤフェンダーはノーマル然とした仕上がりだが、ツメ折りと叩き出しだけではワイド幅が足りなかったため、大手術が敢行されていたりする。

まずフェンダーのツメをめくって叩き出し、そこからさらに余分なアーチ部を切り落とす。そして、鉄板を追加して十分なフェンダークリアランスを確保しているのだ。キャンバー角に頼らずにワイド&ローフォルムを実現するための工夫だが、苦労の跡を一切感じさせない仕上がりは見事だ。

ロワアームはニスモ製の強化ゴムブッシュタイプを選択。トラクションがかかる方向にたわみを発生させるゴムブッシュ式は、ピロ式よりもドラッグレースに向いているという判断からのチョイスとなる。

アッパーアームはイケヤフォーミュラの調整式。イケヤフォーミュラ製の調整式アームは車高を落とした際のロールセンター矯正まで考えた設計となっており、走れるシャコタンマシンを構築するには打って付けのアイテムなのだ。リヤのキャンバー角は、このサイズにしては抑えめの2度半だ。

車高調はアペックス製N1ダンパーをセレクト。リヤのバネレートは9kg/mmと、低車高の割には柔らかめのスプリングがセットされている。ドラッグ走行を見越して、ストローク量を確保するのが狙いだ。

タイヤ&ホイールは、ドラッグ走行時には275/40-17のフージャー製ドラッグラジアルに、9.5J×17-28サイズのボルクレーシングTE37SLをセット。ちなみに、ストリートではアドバンネオバAD08の255/40-17サイズを装着する。

続いてフロントセクション。ロワアームはノーマルだが、イケヤフォーミュラのテンションロッドとタイロッド、そしてスクリーンオリジナルのロールセンターアジャスターを投入してロールセンターを調整。ローダウンに伴うジオメトリー変化を最小限に抑えている。

ボディには一切の加工なし。インナーフェンダーを取り外すだけでタイヤハウス内のスペースを確保している。ちなみに、インナーフェンダーを外したことで気になるエンジンルーム内の汚れは、ネットを設けることで対処。車高調はリヤ同様のN1ダンパーで、バネレートは10kg/mmのセットだ。

フロントタイヤは235/40-17のディレッツァZ1に、9J×17-22の同じくTE37SLをマッチング。フェンダーはヴェルテックス製ワイドへと交換されている。なお、フロントのキャンバー角は1度半程度だ。

エアロパーツやフロントフェンダーは全てT&EヴェルテックスのLANGシリーズ。車高だけでなく、ストイックな直線番長系には珍しいエアロチョイスも相まって、一見しただけではゼロヨンマシンとは思えない雰囲気を醸し出す。

「ドラッグ仕様でもシャコタンに拘るのは、もうカッコ良さ以外にないですね。いくらゼロヨンをやるからといっても、基本はストリートカーですから。それに、シャコタンだとレース会場でも目立てますし」とはオーナー。

現状のベストタイムは11秒5。オーナーはこの車高のままでもタイムが狙えることを証明すべく、セッティングを煮詰めていくというから楽しみだ。

●取材協力:スクリーン 宮城県富谷市成田9丁目1-17 TEL:022-348-3761

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