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現代の工作精度で製作された珠玉の逸品!
製品誤差もなく高い信頼性を約束
旧車はエンジンありきという考えもある。高性能な高年式エンジンへのスワップも一つの手段ではあるが、正攻法のメカチューンで速くすることも醍醐味だ。その発想から現在も進化し続けているのが、日産の名機L型エンジンである。
もちろん、年式を考えると市場に流れる中古パーツの数は少なくなってきている。中でも重要なエンジンブロックやヘッドは激減、価格も右肩上がりだ。そのため、ニューエンジンを作ろうにも簡単にはいかないのが現実と言える。
そんな現状を打開するべく動いたのが、鋳造事業を主体とした企業向け試作業務等を行う“JMC”。独自にL28用チューニングヘッドを作り上げたのだ。
開発にあたっては、OS技研のTC24-B1Zの開発にも協力してきた“プロショップナカガワ”の中川代表が全面協力。自らが行なってきたヘッドチューニングのノウハウを全て注ぎ込んだそうだ。
このチューンドリプロヘッドにおける一つのトピックは素材だ。ノーマルはAC2Cというアルミ合金を使用しているが、JMCヘッドではさらに密度と硬度を高めたAC4CHアルミ合金を採用。これにより熱耐性も高まり、安定した性能を保持できるようになるとのこと。
また、製造時の鋳造法も単なる流し込みではなく、高精度で鋳巣の発生を抑えられる砂型低圧鋳造という手法を使っているのも大きなポイントだ。
製品は、加工前提のベースとなるタイプAが69万3000円、バルブガイドなどの圧入とシートカットまで済んだタイプBが80万3000円、ベリリウムシートリングに変更するタイプCが85万8000円というプライス設定。これは、純正ヘッドを購入してチューニングするのと同等かそれよりも安いレベルだ。
左の純正N42ヘッドは砂型鋳造のため砂出し用のグロメットが配置されているが、JMCヘッドでは最新の鋳造技術を使用するのでグロメットは必要ない。スッキリとしたデザインになるだけでなく、剛性も上がり不要なトラブルの芽も摘み取ることができるのだ。
燃焼室加工は全て最新の5軸CNCによる機械加工によって行われる。「純正ヘッドで燃焼室を大がかりに加工する場合、アルゴン溶接で肉盛りするのが一般的ですが、それだと熱による歪みが必ず発生します。この製品は理想的な燃焼室形状を手作業一切なしの機械仕上げで製作しているので、歪みはもちろん気筒間の誤差もシャットアウトできます」とは中川代表。
もちろんウォータージャケット位置や太さも設計段階で最適化されるため、水量が増え排熱もスムーズ。各ポートとのクリアランスも十分に保たれている。
燃焼室の加工はもちろん、タイプB(オーダー項目)からはバルブガイドやシートリングの圧入、シートカットまで全て行われる。さらにタイプCではシートリングにベリリウム銅合金を採用しハイパフォーマンス化される。
純正では設計の都合で、3番と4番の排気ポートの形状が他のポートと異なるが、JMCヘッドではこの部分を他のポートと同形にリメイクしている。
新規金型で生み出されるJMCヘッドは、表面もスムースで美しい仕上がり。浮き彫りされたPSN3.2の刻印は、第一弾でもあるプロショップナカガワ3.2Lの略。同じく開発サポートをしているラウンドエンジニアリングバージョンも今後ラインナップに加わるとのことだ。
ちなみに、ファーストロットはすでに完売のため、購入希望者は次回ロットの入荷を待つ必要がある。とはいえ、このヘッドはL型チューニングの一つの到達点だ。待つ価値は大いにあると言えるだろう。
●問い合わせ:PROSHOPナカガワ 兵庫県姫路市余部区下余部1239 TEL:079-272-3883
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