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独自の進化を遂げるタイのチューニング事情を追った
日本からは6台のチューニング&カスタムカーが登場
6/29(水)~7月3(日)の5日間、タイ・バンコクのインパクト・チャレンジャーホールで『バンコク・インターナショナル・オートサロン2022』(BIAS2022)が開催された。
東京オートサロンとのライセンス契約で2012年から実施されてきたこのイベントも、2022年で8回目(2014年/2020年/2021年は中止)を迎え、東南アジア最大規模のカスタムカーショーとして完全に定着。
会場となるインパクト・チャレンジャーホールは、タイの首都バンコクの郊外にあるコンベンションセンター。会場は幕張メッセ国際展示場の2ホール分程度の広さだ。
トヨタ、スズキ、いすゞ、マツダといった日本車メーカーに加え、2輪ユーザーが多いタイらしく、国内外のバイクメーカーやアフターパーツメーカーのブースも並び、盛況となっていた。
チューニングカーも年を追うごとにクオリティが上がっており、「とりあえず日本車に2JZを積んどけばOK!」という安直な仕様は激減。今年はタイで乗用車扱いされているピックアップトラックをベースに、ワイヤータックやシェイブドベイなどのトレンド要素を取り入れつつ独自に進化させたチューンドの姿が目立った。
また、タイでは富裕層を中心にオートキャンプが流行しつつあることから、アウトドアを意識したカスタムカーも多かった。この辺りは、日本のカーカルチャーから影響を受けたものであることは間違いない。
世界規模でローエミッション化が叫ばれる昨今、その波はタイにも届いている。会場にはEVゾーンが設けられ、テスラを始めとするEV車のカスタムや、独自のコンバートEV仕様が多数展示されていたのだ。こちらはオールドビートルのコンバートEV仕様。リヤにDCモーターが搭載され、フロントの収納スペースにリチウムインバッテリーを直列配置していた。
出展ブースもデザインに凝ったものが多かった印象。中でもJUSTLOANというメーカーのブースは凄まじく、本物の信号機をディスプレイし、日本のストリートシーンを完全再現! そこにランエボVやスープラなどのジャパニーズチューンドを美しく展示していたのだ。さらにブースを飾るコンパニオンも日本の女子高生スタイルと、かなりの拘りを見せていた。
日本からは、東京オートサロン2022出展車両6台が招待され、入り口付近とステージ付近に展示。タイのカスタムカーファンから注目を浴びていた。
日本国内のみならず、タイでも絶大な人気を誇るスプーンとT&Eはそれぞれ自社ブースを構え、オリジナルアイテムを猛烈アピール。常に人だかりができていた。
バンコクオートサロン名物の「セクシーカーウォッシュ」も開催。会場内のメインステージで、最新のGT-Rニスモを踊りながらギャルが洗うという光景は凄かった…。
会場の外にある駐車場エリアでは、連日オーナーズクラブ主催のミーティングが開催されていた。RX-7やホンダ系、SUVなど、リアルなホットマシンが大集結したのだ。
目覚ましいスピードで進化するタイのチューニング&カスタム文化だが、タイ国内における乗用車の保有台数は約1000万台で、人口1000人あたりの保有台数は約230台だ。スケールは日本よりもはるかに小さく、一般大衆にとって自動車は相変わらず高嶺の花のままなのである。
自動車が富裕層を中心としたステイタスシンボルのうちは、チューニング&カスタム文化の定着など夢物語でしかなく、何よりも一般大衆の心に響く手頃なスポーツモデルの登場なくして、真のチューニング・モータリゼーションは起こりえないだろう。
とはいえ、タイで独自の改造車文化が開花しようとしていることは紛れもない事実。今後、どのような方向に進んで行くかは皆目検討も付かないが、静かに見守っていこうと思う。