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あの頃の日産は尖りまくっていた!
高い技術力と発想力で世界に数多くの衝撃を与えた80年代の日本車。その後のスタンダードとなった技術も多いが、その一方で驚きをもって迎えられた珍装備も少なくなかった。特に“技術の日産”を自ら名乗っていた日産は、挑戦的とも言えるアイテムが目白押しだったのだ。ここでは、そんな80年代の日産が誇る世界&日本初のマニアック装備を見ていこう。
技術の日産を体現したマニアック装備の数々に迫る
オートカセットセレクター
7代目スカイラインと2代目レパードに採用された世界初装備『オートカセットセレクター』。簡単に説明すると、5巻のミュージックカセットを装填して、連続再生や順序指定再生が可能なカセットチェンジャーだ。
センターコンソールを完全に潰して設置されるため、小物類の収納には困ってしまうが、メカ好き&音楽好きなら喉から手が出るほど欲しかったアイテムだったのかもしれない。
ちなみに、チェンジャー本体はセンターコンソールの前方にあるが、その後ろには予備のカートリッジも入れられる構造となっていた。
なお、アフターにも車載用カセットチェンジャーは存在していたが、チェンジャー本体はトランクなどに設置する大型タイプが主流で、そういった意味でも日産純正(クラリオン製)は進んでいたのだ。
もう少し後の時代になると、CDチェンジャーやMDチェンジャーはカーオーディオ装備として流行したが、それらもHDDミュージックサーバーが一般化したことで消えていった。
傘入れ兼用のドアポケット
「雨傘をクルマのどこに置いておくか?」。R30スカイラインの設計者自身が、この問題を痛切に感じていた…ということで開発されたのがこの装備。
もちろん車内を雨滴で濡らしてしまうようなことはなく、そして雨に濡れず颯爽とクルマから降りてくるスマートな出で立ちが、スカイラインのオーナーには必須だったのだ。ちなみに、3代目パルサーの3ドアハッチバックは、ドア開口部のボディ側にアンブレラポケットが設定されていた。
スペアタイヤ空気圧警告灯
トランクルームの有効容量を向上させるため、日本で初めて省スペース用テンパータイヤを標準装備したのがR30スカイラインだ。
超スリムでありながら許容速度は100km/hとされ、緊急時にもスカイラインオーナーの高速走行への欲求に応えているのだが、その安全性を確保するためにテンパータイヤも空気圧を常時監視するシステムを採用していたのだ。
ワイパー付きフルリトラクタブルヘッドランプ
70年代から90年代まで、スポーツカーのヘッドライトはリトラクタブルが定番だった。
法律で定められたヘッドライトの最低地上高を確保しながら、未使用時に格納することで空力特性に優れるリトラクタブル式。だが、展開時は大きな空気抵抗になってしまう。
S12シルビアもリトラクタブルヘッドライトを装備していたが、垂直に反り立つが故に雨滴や雪が積もりやすい。そこで、リトラクタブルヘッドライトにワイパーを組み合わせる…という世界初の機構をターボRS-Xに設定したのだ。
ワイパー付きアウトサイドミラー
初代レパードの上級グレードに標準装備された、ワイパー付き電動リモコンフェンダーミラーも世界初のアイテム。雨滴や汚れをスムーズに除去し、大きなミラー面に対して小さなワイパーブレードとなっているので、クリーンな後方視界を維持することが可能だ。
80年代後半、ドアミラーの時代になっても初代シーマはドアミラーワイパーを装備していたが、後方視界への日産の強い拘りが感じられる。
カードエントリーシステム
こちらは間違いなく世界に多大な影響を与えた世界初のハイテク装備。現在のキーレスエントリーに繋がる、R31スカイラインの『カードエントリーシステム』だ。
キャッシュカードとほぼ同サイズのカードを携帯していれば、キーを用いることなくドライバー側のフロントドアのロック/アンロックと、トランクリッドのオープンが可能。車体側にあるスイッチボタンを軽く触れるだけ…という、まさに現在のキーレスと同じ。
だが、エンジン始動にはキーが必要なので、キーとカードの両方を持たなければならず、また、カードサイズではあるが厚みがあり、持ち歩くにはやや不便だった。
セーフティドライブ・アドバイザー
U11ブルーバードに設定された変態的オプション装備。健康なドライバーのコンディションを、パワステの操舵パターンや運転時間などからコンピュータが推定して休憩を促す『セーフティドライブ・アドバイザー』だ。
現在も運転時間で休憩を促すカーナビは多いが、こちらはドライバーの居眠りや疲労によるふらつきも検知。発光ダイオードによる絵表示と、ブザー音でドライバーに注意を喚起する。
なお、この装備は2つの電子制御ユニットを必要とし、3ウェイパワーステアリングとのセットオプションとなっていた。
GTオートスポイラー
時速70km/hを超えるとフロント下部に隠されたアンダースポイラーが現れる、世界初の車速感応式電子制御エアロ。それがR31スカイライン(クーペ)に設定された『GTオートスポイラー』だ。
一度せり出した後は、時速50km/hになると自動で格納される。なお、サイドブレーキがかかっている状態ではスイッチによるマニュアル操作が可能という、洗車時などに便利なモードが用意されていた。
ちなみに、日産の資料によると、スポイラー格納時のCd値0.32に対し、スポイラー露出時のCd値は0.31に向上するとのこと。
これがGTオートスポイラーの操作スイッチ。手動操作できるのはサイドブレーキをかけている時のみとなる。画像は後期型のもので、前期型はセンターコンソールにシーソー型のスイッチが付く。
雨滴感知式オートワイパー
雨が降ってくるとそれをセンサーが感知して、ワイパーを自動的に作動させる『雨滴感知式オートワイパー』。いまや当たり前の装備となったが、1983年に世界初で採用したのが、Y30セドリック&グロリアだ。
現在、センサーはフロントウインドウ内部に設置され、さらにワイパーレバーで感度調整が可能となっているものが大半。だが、当時のセンサーはボンネット上にまぁまぁの大きさのものを設置。感度に関しては雨量に応じて最適な間欠間隔に設定されていたため「これくらいの雨ならいらないや」と思っていてもワイパーが勝手に動き出す…ということが多かった。
ちなみに、Y30は国産車初のV型エンジン搭載車としてデビューしたクルマでもある。録音機能付きのカセットデッキを採用していたこともトリビアだが、当時のラジオ人気が伺える機能と言えよう。
ゴールドキー/ダイヤキー
日産自動車の高級車部門、インフィニティのフラッグシップがインフィニティQ45。バブル絶頂期に発売されたこともあって様々な豪華オプションが設定されていたが、その中でも目を引くのがゴージャスすぎるキーだ。
18Kゴールドキーは52万円、そしてダイヤキーはなんと最大1カラットだと286万円。もしも落としてしまったら…と想像すると恐ろしいオプションである。