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目標はハイフロータービンで130馬力
ジムニーはタイムアタックも面白いんです!
現行ジムニーの改造例は数あれど、ここまで本気のサーキットアタック仕様は珍しいだろう。手がけたのはジムニーチューンの名門“レインボーオート”。茂原ツインサーキットを1分フラットで周回するというデモカーだ。
ベースはJB64Wで5速マニュアルのXLだ。サーキット走行を前提としているため、スペアタイヤは当然のようにキャンセル。フェンダーは9mmワイドになるGベース製で、GTウイングはワンオフラダーを介して理想的な位置にマウントしている。
パワーチューニングも抜かりない。エンジン本体はノーマルだが、吸排気から点火系まで自社パーツを中心にフル武装。制御には高性能フルコンのLINKエクストリームを採用して綿密なマネージメントを行いつつ、アンチラグシステムも実装済みだ。
タービンは純正改のハイフロー仕様をテスト中。現状、ブースト圧は0.9キロの設定だが、まもなくインジェクターと燃料ポンプを大容量化して1.3キロ(130ps)にチャレンジするそうだ。
クーリングパートは、トラストの前置きインタークーラー&大容量ラジエターに、セトラブのオイルクーラーを投入。フレッシュエアを積極的に各コアへと導くために、フロントバンパーには開口部の大きいダムド製を装備する。
エキゾーストマフラーは、この仕様に合わせてワンオフ製作した効率重視の左右出しだ。汎用のディフューザーと2段のボーテックジェネレーターがタイムアタック仕様を物語る。
タイヤはポテンザRE-71Rで、いわゆる86&BRZサイズと呼ばれる205/55-16を履く。もっと幅広のハイグリップラジアルを履きたいところだが、タイヤ外径のバランスまで考えた結果このサイズに落ち着いたという。
組み合わせるホイールは、レイズがジムニーのために開発した鍛造1ピースのA・LAP-J(5.5J±0)。
足回りはオリジナルの前後50mmダウンサス(F6kg/mm R5kg/mm)でセットアップ。車高はサーキットで縁石をまたぐようなシーンまで想定した設定だ。また、駆動系はフロントのトランスファーを撤去し、完全FR仕様としているのもポイントだ。
アンダーコートまで剥がされ、スパルタンに仕上げられた室内。ロールケージはサイドバーやクロスバーまで与えられたサイトウロールケージ製のスペシャルだ。ステアリングハンドルは330φのナルディラリーで、シートはレカロのSP-G。トランスファーの撤去と合わせて、80kg以上の軽量化を実現しているというから恐れ入る。
「JB64W(XG&XLのMT車)をLINKでフルコン化するメニューは、完成の域に達しています。ビッグタービン仕様などのハードチューンにも応えられるので気軽に相談してほしいですね」とは、レインボーオートの横ヒレさん。
今後は茂原ツインサーキット58秒切りを目標にチューニングを進めていくとのことなので、さらなる進化が楽しみだ。
●取材イベント:ジムニー那須フェス2021
TEXT&PHOTO:Daisuke YAMAMOTO