「86&BRZワンメイクレースのノウハウを凝縮」ノーマルエンジンで速さを極める匠の技に迫る

ワンメイクレースで得たノウハウを凝縮!

ノーマルエンジンを限界まで使い切る匠の技

 NA、過給機付きを問わず、86&BRZに関する様々なモディファイを行なってきた“丸田小屋”。2019年からはGAZOOワンメイクレース(2021年シリーズまで)にも参戦。2020年8月のオートポリス戦で予選ポールを獲得するなど、これまで得た経験の蓄積は着実な結果となって表れている。そのレースでの経験を存分に活かしつつ、ノーマルエンジンの限界点に切り込んだのがこのクルマだ。

車体は前期型RCがベース(バンパーは後期用)。FA20ユニットはECUを“オートプロデュースBOSS”で書き換えた以外、本体は完全ノーマル。レボリューションのカーボンインダクションボックスやビッグスロットル、パワークラフトのエキゾーストマニホールドなど吸排気環境の変更に留めている。

エキゾーストマフラーは東名パワードの片側一本出し、エクストリームTiチタン。その奥には、強化されたメンバー周りや調整式ロアアームが確認できる。

サスペンションはHKSハイパーマックスMAX IV-SP。スプリングレートは前後とも8kg/mmで、減衰力については丸田小屋オリジナルのスペックを採用。その他、シャシーについてはリヤメンバーやデフマウントのリジット化なども行われている。

室内はピラーやルーフ周りなど内張りは取り外されているが、このままノーマルエンジンで攻めるのであれば、ドアやルーフパネルのドライカーボン化も検討したいとのこと。

シートは抜群のホールド性を誇るレカロのプロレーサーRMSをセット。内装パーツはリヤシートも含めて全て撤去済みだ。

さらに注目はタイヤ&ホイールのプロフィール。街乗り時は18インチサイズのアドバンレーシングGTを履くが、サーキット走行時には16インチへとサイズダウン。ワンメイクレース車と同じ205/55-16サイズのディレッツァβ02を組み込んでいるのだ。

ちなみに16インチ装着時のホイールは、R32GT-R純正。選択の理由は、205サイズのトレッド面積を最大限に活かせる8.0Jというリム幅にある。何もこんな旧いデザインを、と思うかも知れないが、今やコンパクトカークラスでも17インチを履く時代。8.0Jリムを持った16インチホイールのアフター品は、皆無に近い。そんな見えない工夫を各部に盛り込んだデモカーだが、2020年11月末のテスト走行で見事2分6秒9というタイムを叩き出した。

「この世界に“たら・れば”は禁句ですが、ロガーを詳しくチェックしたところ、途中ミスした部分がありました。周回数は2周でしたが、1周目と2周目のミスの無い部分を組み合わせてシミュレーションしたところ、6秒3まではイケたようです。ま、結果は結果ですけど」と丸田さんは笑う。

ファーストコンタクトとしては十分過ぎるほどの手応えが感じられた16インチ仕様の86。もし新品タイヤを履かせたなら、そして丸田さんが語るように、エンジンチューニングをさらに一歩進めたなら? タイムアップへの伸びしろに繋がりそうな要因は、まだまだ見つけられそうだ。

●取材協力:丸田小屋 福岡県朝倉郡筑前町安野43-3 TEL:0946-42-1658

【関連リンク】
www.maruta-goya.com

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