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ハイコンプ20Bユニットを搭載したロータスヨーロッパ!
流麗なフォルムの奥に潜むスーパーGTスペックの強心臓
この真紅のチュ−ンドロータリーを見て「懐かしいな…」と感じる人も多い事だろう。
雨さん率いるRE雨宮が、ファクトリー設立35周年という節目の年に誕生させたメモリアルチューンドは、1987年の東京オートサロンでコンプリートカー部門・最優秀賞に輝いた“雨宮スーパーヨーロッパ”の再来と呼べる存在だ。
いや、F3レース用サスペンションやヒューランド製FG400ミッション等のレーシングパーツで組み上げられた前作とは異なり、今作は市販車パーツのみでの構成。それを考えるならば、この“ロータスヨーロッパ3ローター20B”は、ストリート仕様としてより純度を高めた、伝説のアップグレードモデルと呼ぶ方がしっくりくるかもしれない。
「昔から車高の低いクルマが好きでさ。その究極って、やっぱロータスヨーロッパなんだよ。なんたって全高が1080mmだかんね!」。雨さんが熱く語り出す。続けて「ズ〜ッと作りたかったんだよ。26年前に作ったヤツとは違う、気を張らずに乗れるようなヨーロッパをさ」。
ロータスヨーロッパは、1966年から約10年間に渡って生産されたイギリス産のミッドシップスポーツだ。逆Y字型のバックボーンフレームにFRPの軽量ボディを被せた構造で、車重はなんと610kg(初期型)。エンジンは、最終的に126psの1.6L直4DOHCまで進化したのだが、REチューンの神様が手掛けたコイツの心臓部は、もちろん勝手知ったるロータリーユニットとなる。
前回はロータスヨーロッパの軽量性を活かすために13Bターボ仕様としたが、今回は圧倒的なトルク感&レスポンスを求め、13B-MSP用ローターを組み込んだハイコンプ20Bで、内部パートはほぼスーパーGT最終年のスペックに近いもの。最高出力は300ps、搭載位置はもちろんリヤミッドである。
そんな20Bユニットの後端には、レガシィ用ミッションがドッキングした状態でフレームのY字部分に挟まる。ミッション内フロントデフには3.9ファイナルが組み込まれ、ギヤ比は最適化済みだ。その後部にレガシィ用のミッション&デフをドッキング。
フロントフード内にRX-8用のアルミラジエターをマウント。その後部にはロードスター用のブレーキシステムやドライバッテリーがレイアウトされるが、普段は雨避けのカーボンプレートで覆われているため視認することはできない。
エキゾースト環境はストリートスペック前提のスペックとなる。特にエンドマフラーにはこだわり満載で、大型のステンレス楕円サイレンサーを2連で装備した上、エンド部にはデザイン性を重視した純チタンテールを合体している。
ロータスヨーロッパのサスペンション形式はFダブルウィッシュボーン/Rチャップマンストラットだが、旋回性能を根本から高めるために前後ともロードスターのダブルウィッシュボーンへと変更。ダンパーにはクァンタム製のSPLモデルを奢る。
ホイールは特注ゴールドに塗装された17インチのエンケイRPF1。タイヤサイズはフロント215/40-17、リヤ235/40-17だ。
エクステリアは同社のRX-7用エアロパーツを加工流用しながら構築。ヘッドライトはAC987キットと同一のポルシェ純正だ。ちなみにルーフパネルにはヴィッツ純正ボンネットが使用されていたりもする。ボディカラーはソリッドのレッドである。
カーボンパネル&全面バックスキンで上品に仕上げられたインテリア。センターパネルのモニターはバックビュー用として機能する。シートはブリッド製のフルバケを導入。ステアリングラックやペダル類はロードスター用を流用する。パワステはもちろんレスだ。
操舵関係はロードスター用を、ラジエターやリヤブレーキ等はRX-8用を、オイルクーラーはRX-7用を…と、RE雨宮らしくマツダのDNAを全注入して生み出されたスーパーチューンド。究極のレストモッドだ。