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心臓部はRB26改2.8L仕様で600馬力オーバー
筑波57秒台入りを狙うHCR32サーキット仕様!
サーキット仕様のR32スカイラインといえば、ドリフトの世界を除いて大半の人がGT-Rを思い浮かべるだろう。しかし、このマシンのオーナーはあえてFRのタイプM(HCR32)に拘り続けている人物。
「今は違いますけど『GT-Rだったら速くて当然』と思っていた時期がありまして(笑) それであえてのタイプMが面白いかな、と。後はFRの方がコスト面でも有利と考えたのもありました」とはオーナーの弁。そんな理由から、免許取得以降R32タイプMばかりを乗り継ぎながら現在に至るという。
マシンメイクを担当しているのは、千葉県の“テクニカルファクトリーブラインド”。エンジンはHKSのステップ1キットを軸にしたRB26改2.8L仕様で、タービンにはボルグワーナーのS300をセット。設定ブースト圧は1.5キロ(600ps)だが、後々は1.7キロまで上げていく方向でセッティングを進めているという。エンジンマネージメントはフルコンのLINKが担う。
足回りはスピリット車高調(F18kg/mm R14kg/mm)を軸に、クスコの調整式アッパーアームや純正改フロントロアアームなどを投入してセットアップ。ブレーキはフロントがブレンボ6ポット+355mmローター、リヤがブレンボ4ポット+V36スカイライン350mmローターという構成だ。
ホイールはボルクレーシングTE37SL(11J+18)で、タイヤは295/30-18サイズのアドバンA050。当然、純正のナローボディでは収まらないサイズとなるので、フェンダーはフロントにGT-R純正を、リヤには汎用のオーバーフェンダーを装着することで対応している。
室内は運転席のみというスパルタンなシングルシート仕様。ロールケージはサイトウロールケージの製品をベースに、ワンオフの補強バーを各部に追加している。ドライブトレインはミッションをホリンジャーの6速シーケンシャルタイプに変更。クラッチはORCのトリプルタイプという組み合わせだ。
ちなみにベース車はサンルーフ付きだが、完全に撤去した上でオーナー自ら切り出したドライカーボンパネルにて塞がれている。取り外された純正サンルーフの重量は約15kg、はめ込んだドライカーボンパネルは1kg。軽量化による運動性能の向上に寄与していることは言うまでもないが、見た目のインパクトも絶大だ。
エアロパーツを見ていく。フロントはBNR32純正バンパーにショーリンのフロントリップ、フィーストのカナードをセット。ボンネットは高勢スタウト製だ。リヤセクションは、SARDの汎用GTウイング”020”とトップシークレットのディフューザーでダウンフォースを増強。リヤバンパーは純正品にダクトを設け、パラシュート効果の低減を図っている。
取材時のベストタイムは59秒939。自己ベストの58秒416を更新することはできなかったが、仕様変更後の初アタックということを考えれば十分すぎる結果だ。当面は57秒入りを目標にセットアップを煮詰めていくというから、今後の活躍に期待したい。
●取材協力:テクニカルファクトリーブラインド 千葉県旭市ニ5269 TEL:0479-62-4473
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