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GRB用シリンダーヘッド流用で強度&冷却性能を大幅アップ!
純正CPで対応するDジェトロ化も技ありポイント
タービン交換をはじめ、排気量アップなどエンジン本体にまで手を入れるGDBオーナーを多く抱える“カーステーションマルシェ”。石田代表によると「エンジンのオーバーホールがてら、思い切って“走りに振ったチューニング”を施す人が多いですね」とのこと。
今回取材したGDBアプライドEはその一例で、筑波、富士、鈴鹿などサーキットを走行を楽しむオーナーのリクエストに応え、HKSキットによる2.2L化+GT2835KAIタービン仕様とされている。最大ブースト圧1.7キロ時に415ps、55kgm(ダイノパック係数ゼロ)というスペックも凄いが、注目したいのは、それだけのパワー&トルクを実現するのに大きく貢献しているGRBヘッドの流用と純正CPでのDジェトロ化だ。
まずGRBヘッドはGDBヘッドに対して、強度と冷却性能を大幅に高めているのが大きな違い。とくにGDBヘッドはチューニングレベルに関わらず、プラグホールとバルブシートリングの間にクラックが入っているケースが多く、ひどくなるとその隙間から燃焼ガスの吹き抜けなどを起こしてしまう。
ウォータージャケットの設計が今ひとつで熱が篭りやすいから…という説もあるが、マルシェでは“単純にヘッド自体の強度不足”をその理由と考えている。ちなみに、この写真の程度のクラックならノーマル〜ブーストアップ仕様で乗り続ける分には問題無し。それ以上のエンジンチューンを施すなら、クラックの有無に関わらずGRB用ヘッドの流用がベストだ。
また「GRBヘッドは吸排気ポートの形状が見直されていて、より高回転でパワーが出せるような設計になってますね。同じカムでも、GRBヘッドの方が1000rpmくらい上まで使える感覚。実際このGDBはHKSの264度カムを組んで、レブリミットを8600rpmに設定してます」とのこと。
GRBヘッドはGDBヘッドに対してウォータージャケットが目に見えて深く、冷却水を一度貯めてから循環させているようなイメージ。ヘッド自体の強度アップだけでなく、冷却性能も格段に向上しているのだ。
流用にあたっては、AVCS関係のセンサーやオイルラインなどに手を加える必要があるが、マルシェでは専用パーツを作ることで対応。GRBヘッド流用をメニュー化して、より手軽にパフォーマンスと耐久性の向上が図れる環境を整えているのだ。
一方、純正ECUによるDジェトロ化はあまり聞かない手法だが、グループN仕様のラリーマシンなどでは行われていたとか。まさに“裏ワザ的メニュー”なのである。
これは、元々GDBの純正ECUがDジェトロ制御にも対応した設計であることに加え、圧力センサーや吸気温センサーを標準装備しているからこそ可能なのだ。いずれにしても、スバルがはじめからDジェトロ制御も視野に入れてGDBを開発していたことは間違いない。
石田代表いわく「ノーマルのパッケージングでDジェトロ化できるなんて面白いですよね。ハーフスロットルからの加速などでは、エンジンレスポンスの向上をハッキリ体感できます。タービン交換で400ps前後を狙うならお勧めです」とのことだ。
ISC(アイドルスピードコントロールバルブ)を制御することで、2速3000rpm以上でのアクセルオフ時にタービンを回し続け、再加速時のブースト圧の立ち上がりを鋭くするアンチラグシステムも装備。これもECU-TEKによる純正CP書き替えで制御される。特にサーキットではタイムアップに直結する強力な武器だ。
ちなみに、取材車両で街乗り、高速道路、40分におよぶ炎天下での渋滞、標高1300mのワインディング…と色々な状況に遭遇したが、エンジンは常に好調。Dジェトロでも制御の安定感は抜群なのだ。ここまでのハイチューンであっても、ストリートも走る車である以上安定した走りができるというのは絶対条件。それを難無くこなすこのマシンは、チューンドGDBのお手本と言える。
●取材協力:カーステーション マルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 TEL:0247-265-6789
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カーステーションマルシェ
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