「FC3S改の本物パトカーが300キロに挑戦!?」ボンネビルで見つけた超弩級マシンPart.3

TOYOTA PICKUP/MAX SPEED:282.633km/h

ツインチャージドエンジンをミッドシップ搭載!

やたらとフレームが延ばされているし、そこに載るエンジンはムキ出し。安全面のレギュレーションは当然クリアしなくてはならないが、「ボンネビル仕様ってなんでもありじゃん!」と思わせてくれたのがコレ。

エンジンはGMC製4654cc(284ci)の直4ディーゼル+スーパーチャージャーで、そのままでもトルクの塊みたいなエンジン特性というのが想像できるが、そこになんとターボチャージャーもドッキング。そう、かつてルマン24時間を制したアウディも驚く、ディーゼルツインチャージャー仕様だったりするのだ。

シリンダーブロック左側にルーツ式スーパーチャージャーが付き、右側にカリフォルニアのイグザイルターボシステムズ製オリジナルタービンを装着。ルーフの上に突き出したシュノーケルからエアを吸い込む。後方のタンクは水冷式インタークーラーだ。オーナーいわく、「レブリミットは3600rpm、パワーは550psくらいかな」とのこと。

室内も独特なメイキングが施され、キャビンの中央にシート&ステアリングを配置したセンターレイアウトを採用。タコメーターは目盛りが4000rpmまでしか刻まれていないが、もともと上まで回らないディーゼルエンジンだからこれでこと足りる。

ミッションはアリソン製4速ATで、ず太い低速トルクとレブリミットの関係から、ファイナル比は1.59!! と思いきりハイギヤードなのだ。

CHRYSLER EAGLE TALON/MAX SPEED:335.357km/h

エクリプスのバッジ違いモデル! 600馬力仕様の4G63を搭載

搭載される4G63をもじったカーナンバー4663を持つこの1台は、クライスラーイーグルタロン。アメリカで生産される三菱エクリプスのOEMモデルだ。

エンジンはランエボでお馴染みの4G63。排気量2.0Lのタービン交換仕様だ。装着されるホルセット製タービンはヨーロッパを中心にトラックや乗用車に幅広く採用され、日本でもコマツの建設機械に多く搭載されていたりする。この仕様で最大ブースト圧1.7キロ時に600psを発揮。さらに、強化ミッションを組むなど駆動系チューンも抜かりなしだ。

他にも色々と説明してくれたのだが…テキサス訛りがキツくて話の半分も理解できず。残念無念…。

MAZDA RX-7/MAX SPEED:269.982km/h

V8を載せたFC3Sはアメリカ最速のポリスカー!?

ボディがホワイト&ブラックで塗り分けられたFC3S。なんだか日本のパトカーみたいだな…と思ったら、なんとコレがアメリカ西海岸、レドンドビーチ警察に配属される正真正銘のポリスカーなのだ。2007~2008年もボンネビルを走り、3速で189MPH(304.101km/h)を記録している。

エンジンは13Bに代えてシボレー製5834cc(356ci)V8を搭載。L&Rエンジンサプライでカムやロッカーアーム、バルブリフターに至るまで徹底したヘッドチューンを行ない、腰下にはスキャット製鍛造クランクシャフト&ピストンを組んで圧縮比も12.0:1まで高められている。これにデーモン製キャブを組み合わせ、NAながら750psを発揮するのだ。

フロントフェンダーの下から左右4本ずつ突き出したマフラー…というかEXマニ。こんなポリスカーが存在するとは、もはやマッドマックスの世界だ。

ノーマルのダッシュボードこそ残っているが、オールインワンメーターやオートメーター製タコメーターをはじめとした追加メーターが並ぶなど、もはやポリスカーの面影は全くない。

「これまでイタリア警察のランボルギーニガヤルドが191MPHを出しているけど、このFC3Sで200MPHを突破して世界最速のポリスカーを目指したいね」とオーナー。

空気抵抗を減らすために外されているが、普段は赤と青の回転灯がルーフに搭載される。こんなポリスカーに追いかけられたらひとたまりもない…。今回は167.795MPHに留まったが、実力的には200MPHオーバーも夢ではない。

MAZDA RX-7/MAX SPEED:235.830km/h

チョップトップとロングノーズで大きく生まれ変わったSA22C

明るいパープルを基調にブルーのフレアが入れられたカラーリング。Bピラー&リヤフェンダー周りの形状を見て、「もしかしてSA22C?」と気が付いた。

エンジンはスーパーチャージャーで武装された7210cc(440ci)のシボレーV8。ヘッドが完全にボンネットから突き出した位置に搭載され、インテークダクトと幅広なスーパーチャージャー駆動ベルトが迫力だ。レブリミットは7200rpm。クランクシャフト先端に設けられたポンプで燃料供給を行う機械式インジェクション仕様とされ、500psを発揮する。

センターに4つのメーターが並ぶだけという、至ってシンプルなダッシュ周り。プロペラシャフトが通るセンタートンネルの高さから、エンジン&ミッションの搭載位置が分かる。

「パイプフレームで延長したシャシーに合わせて、ボディはフロントフェンダー部にドアパネルをつぎたして成形してるよ」とオーナー。チョップドルーフと合わせて独創的なスタイリングを生み出しているのだ。

ACURA RSX/MAX SPEED:365.040km/h

ツインS/Cで720馬力+NOS噴射でさらに200馬力を上乗せ!!

アメリカではアキュラブランドで販売されていたDC5インテグラ。「エンジンはK20Aだけど、ニッポンのタイプRよりもスペックが低いんだよな」とオーナーは言う。

そこでプロトタイプレーシングでは、まずカニンガム製コンロッドやCP製ピストンでエンジン本体を強化して、シリンダーブロック前方の上下に遠心式スーパーチャージャーを1基ずつ装着。斜めにマウントされたコアはラジエターだ。これで最大ブースト圧1.5キロをかけて720psを手に入れている。

しかも、NOSまで追加して200psのエキストラパワーをゲット。なんとピークは900psを超えるのだ。ちなみに、プロトタイプレーシングでは2.3L+スーパーチャージャー仕様のK20Aを載せ、ゼロヨン10秒台で走るRSXもデモカーとして所有しているとか。

また、ミッションにも注目。1〜2速はシビック用、3〜5速はアキュラTSX(アコードユーロR)用、6速はアキュラRSX用を組み合わせたハイブリッド仕様で、4.1ファイナルと併せて驚異の220MPHオーバーを達成しているのだ。

DODGE RAM PICKUP/MAX SPEED:423.378km/h

最高速は260MPHオーバー、クラスレコードを見事に更新!

カムシャフトやローラーロッカーアーム、ソリッドピボットなどバルブ周りのアフターパーツを開発するニュージャージー州のジェセルバルブトレインイノベーション。NASCARやHRAにも参戦するメーカーだ。

ボンネビルにはこのマシンで2007年からエントリー。これまでC/BMPPクラスで255.95MPH(411.82km/h)、D/BMPクラスで232.69MPH(374.40km/h)を記録している。

エンジンは4818cc(294ci)のダッジV8で、左右バンクに1基ずつアメリカ・プレシジョン製タービンが装着される。

左右対称のインテークパイプや前方に大きく伸びるEXマニなど、エンジンルームの眺めは独特だ。ミッションはジェリコ製5速ATが搭載される。

荷台にはエンジンとインタークーラーを冷却するための巨大な水タンクを搭載。これだけで相当なウエイトになるはずだが、リヤ荷重が軽いピックアップトラックでトラクションを稼ぐにはそれだけでは足りないようで、奥にもバラストが積まれる。

今回はD/BMPクラスを走って、これまでの241.458MPHという記録を20MPH以上更新。クラスレコードを大幅に塗り替えたのだ。

PLYMOUTH BARRACUDA/MAX SPEED:341.567km/h

4速MTのレブ6000rpmで200MPHを楽に突破!

高性能エンジンを載せた1960〜1970年代クライスラー車の総称Mopar(モパー)。その1台に数えられるのがプリマスバラクーダだ。

搭載されるのは当時、高性能の証とされた半球形燃焼室(ヘミスフェリカルヘッド)を持ち、通称“ヘミ”と呼ばれる6981cc(426ci)のプリマスV8。そこにスーパーチャージャーをドッキングすることで、オーナーいわく、「900〜100psは出てると思うよ」とのこと。レブリミットは6000rpmと極端な高回転化を図っていないため、潤滑方式はウェットサンプのまま。

メーターパネルが作り替えられ、シフトレバー後方には消火器用のノブなどが設けられるが、ダッシュボードやドアトリムが残されたインテリアはノーマルの雰囲気を残している。

また、ミッションはノーマルの4速MTだが、ファイナル比を4.1から2.5へと大幅にハイギヤード化。これでトップスピードを稼いでいるわけだ。

FORD MUSTANG/MAX SPEED:327.771km/h

怒濤の8.9LV8エンジン、その搭載位置の低さにも注目!

エアロパーツの装着を含めてボディには手を加えられないクラスだけに、ボンネットに巨大なエアインテークが付いている以外、見た目がかなり地味なマスタング。

ところが、エンジンは1気筒あたり1100cc!! という8849cc(540ci)のフォードV8で、それを恐ろしい位置に搭載しているではないか! 低重心化を徹底的に図った結果なのだろうが、下回りを覗き込むとEXマニ集合部は地面すれすれ。路面がほぼフラットなボンネビルならこれで問題ないのだろうが、街乗りは絶対できない低さだ。

PHOTO&TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)/ボンネビルスピードウィーク2009より

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