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フルDIYで仕上げたシャコタンFRスタイル
ジムニーカスタムの可能性は無限大だ!
「ジムニーのカスタム&チューニングって無限大の可能性があるんだな…」。FR化+超シャコタン仕様でキメた2台を目前にして、素直にそう思ってしまった。しかも、マシンメイクのほぼ全てがオーナーのDIYというから驚かされる。
カーキ色の個体は1981年式の最終型SJ10ジムニー。2サイクルの550ccエンジンを搭載したモデルで、ボディカラーは新車オリジナル状態のギリシアンオーカーだ。
オーナーはジムニー歴25年以上で、様々なモデルを乗り継いできたという筋金入り。「ロールせずにコーナリングできたら気持ち良いはず」という発想をもとにチューニングを進め、リーフスプリングとホーシングの間にブロックを挟み込んで車高を50mmほどダウン。さらに、シャコタン化の障壁となるフロントドライブシャフトは撤去して完全FR化するなど、大技連発で現在のスタイリングに辿り着いたのだ。
元々、幌車のSJ10だが、オーナーはフロントスクリーン部分の高さを詰めつつ、それに合わせたロールバーを製作(NAロードスター用がベース)することでチョップドルーフ化を敢行。下げた車高に相応しいロースタイルを構築している。
このジムニーのコンセプトのひとつに挙げられるのが『旧車テイスト』。そのため、室内にはジムニー界ではマイナーであろうダットサンタイプのバケットシートをインストールしている。ちなみに、ドア部分やボンネットの塗装はアンダーコートなどに用いられる塗料によるもの。独特のマットブラック仕上げがベストマッチだ。
もう一台のピンク×ホワイト仕様は、先に紹介したギリシアンオーカーのSJ10に影響を受けた若きオーナーが、DIYを学びながら製作を進めたもの。同じ1981年式のSJ10ではあるが、アメリカンローライダーのようなエッセンスを注いで個性を演出している。
特徴的なピンクのボディカラーは、210系クラウンに設定されていたモモタロウ。ダート競技用で所有している別のジムニーも同色でオールペンしたそうで、オーナーの桃色への拘りは相当なものだ。
ホイール&タイヤのチョイスも独特。ホイールはエンケイのデセム10(7Jオフセット-15)で、ホワイトレター入りのタイヤは215/75-15というサイズをセットする。ちなみに、ギリシアンオーカーの車両はエンケイディッシュ(8.5Jオフセット-34)+255/60-15タイヤという組み合わせだ。
ジムニー遊びに精通しているからこそ作り上げられる独創的なスタイル。今やローダウン仕様も珍しくないが、その中でも一際オリジナリティ溢れるオーラを放っていたこの2台は、オーナーそれぞれの絶妙なバランス感覚が活きた大作と言えるだろう。
PHOTO:小竹 充(Mitsuru KOTAKE)
●取材イベント:ジムニー那須ふぇす2021