目次
NAならではの良さを伸ばしたメカチューン仕様
販売終了からずいぶんと時間が経つが、未だに熱狂的ファンの多いSW20型MR2。ここでは、そんな名車のチューニングが盛り上がっていた時代にタイムスリップ! 当時、話題を集めた“NAハイレスポンスチューン”に迫っていく。(OPTION 2000年2月号より抜粋)
ハイコンプ+4連スロットルで超レスポンスを実現
当初は表面強化したピストンとカムだけを組み込み、後は細かな加工や調整だけで225ps仕様に落ち着いていたIII型のSW20。その後、ターボモデルに追いつけ追い越せと、全面的にNAメカチューンを開始。そして気がつけば実測で250psを発揮するまでに進化していたという。
注目の3S-GEユニットは、III型の腰下に硬質アルマイト処理を施したトムス鍛造ピストンと同トムス2.2Lクランクを組み合わせて排気量を拡大。エンジンの基礎能力を引き上げている。
ヘッドはIII型ではなくII型をあえて選択。というのも、III型以降はインナーシム式のバルブシステムや、VVT-iに仕様変更されるなど、II型以前にラインナップされたエンジンパーツが使えなく、チューニングパーツの選択肢が狭まってしまうというのがその理由。また、アウターシム式を採用するII型の方がヘッドの加工もしやすいことも選択理由のひとつだ。
この車両はハイカムの逃げ加工やポート研磨、バルブ研磨&擦り合わせ加工などを行なった上で、戸田レーシングの10.8mmハイリフトカム(IN&EX共に272度)と、JUNの強化バルブスプリングを導入。そしてヘッドガスケットをノーマルの1.2mmから0.8mmに変更し、圧縮比を純正の10.1から11.8までアップさせている。スペックは、実測250ps/7200rpm、最大トルク24.3kgm/7120rpmを発揮する。
吸気系は、アルファ45φ4連スロットルを使ったスポーツインジェクションシステムを採用。スロットルはファンネル仕様としているが、燃料はアートインターナショナルのフルコンで制御をするため、細かなキャブの調整などは必要ない。なお、ECU横の盛り上がりは、エンジンルームからハミ出たファンネルを収めるスペースだ。
一方の排気系は、4-1レイアウトの42φステンEXマニからメイン76φのチタンマフラーに繋がるレイアウトを構築。110φの大口径テールエンドがリヤビューを演出する。
足回りは、オーリンズの純正形状ショックにTRDのローハイトスプリングの組み合わせだ。ブレーキはホースとパッド交換に留めている。
インテリアはストリート然とした仕上がりだ。シートは最強のホールド性を誇るレカロのプロレーサーSP-Gを奢り、追加メーターはブリッツの油温、油圧計のみを装備する。
ちなみに、3S-GEの圧縮比は、11.8あたりが限界でこれ以上を狙うとマージンが無くなってセルモーターも回りにくくなる。このチューンドはそのギリギリのラインを狙っているというわけだ。ターボ車ばかりが脚光を浴びるSW20だが、NAチューンもやり方次第ですこぶる楽しめる。その見本のような1台と言えるだろう。