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全幅1920mmの迫力ボディ!
3回目の筑波アタックで1分0秒1をマーク
愛車をチューニングするきっかけは人それぞれだが、この超好戦的なランエボVIIのオーナーは“敗北”がスタート地点だった。「しばらくはノーマルに近い状態で楽しんでいたんですが、ある日、峠を走っていたらブルーのBRZにチギられたんです。クルマってこんなに速く走れるのか!?って衝撃を受けました」とのこと。
以降、先輩達(オーナーいわく師匠的存在)の知恵を借りながらチューニングを加速させ、わずか2〜3年で現在の仕様に辿り着いたそうだ。
ベースは2001年式のGSR。エクステリアはボルテックスの製品を軸に構築し、サイバーエボをリスペクトしてツートン化。カラーは意図的にブラック×ホワイトのモノトーンに抑え、“試作パーツ感”を演出しているのもポイントだ。
フェンダーはフロントがTMガレージ製に中華製ワイドフェンダーを重ねたスペシャルで、リヤは中華製。これにより、前後とも片側75mmのワイド化を達成している。ちなみに、ヘッドライトはランエボVII GT-A用のクリアタイプをベースにインナーブラック化したワンオフ仕様だったりする。
GTウイングもボルテックス製をセレクト。ラダー部分にDIYで製作したパーツを追加し、ウイング面をルーフと同じ高さになるようにセットしている。
エンジンや足回りのチューニングは老舗“Gフォース”に依頼。心臓部の4G63は、東名パワードの2.3Lストローカーキットやハイカム(IN/EX:272度)等で徹底強化したハイトルク仕様だ。
タービンはGPスポーツの等長EXマニを介してHKSのGTIIをセット。F-CON Vプロによる綿密なマネージメントで、最大ブースト1.8キロ時に440ps&64kgmというパワースペックを実現している。
高速域でのパラシュート効果を嫌って大胆にカットされたリヤバンパー。そこから突き出した砲弾型のチタンエキゾーストは、トラストのパワーエクストリームTi-Rだ。
足回りは、オーリンズDFVベースのGフォースオリジナル車高調でセットアップ。スプリングはハイパコで、レートはフロント15.3kg/mm、リヤ14.4kg/mmだ。
ホイールはエンケイのPF01EVO(10.5J+15)。タイヤはシバタイヤのTW180(265/35-18)とヨコハマのアドバンA050を、シチュエーションに応じて履き分けているそうだ。駆動系はAYCをキャンセルし、前後にクスコの機械式LSD(1WAY)を組んでいる。
当初、ブレーキは前後ともJBTのキャリパーシステムをインストールしていたが、このホイールを履くとフロントキャリパーが干渉してしまうため、フロントのみエンドレスの6POTキャリパーに変更したそうだ。
室内は漢のワンシーター仕様だ。内装類は大胆に取り払われており、アンダーコートまで撤去され剥き出しになったフロアからオーナーの強い決意が伝わってくる。その他、パワーウインドウ撤去(RS化)やアクリルウインドウ化など、メイキングは完全にサーキット専用機のそれだ。ハンドルはMOMOの350φ、シートにはレカロのRS-G GKを奢る。
「以前は峠専門だったのですが、もうそういう時代ではないので現在はサーキットオンリーですね。筑波は走行3回目で1分0秒台(A050のMコンパウンド)に入れたので、タイヤコンパウンドをGSに変更して分切りを目指します。ゆくゆくは58秒台に入れたいですね」と熱く語るオーナー。
チューニングレベルはもちろん、クルマとの付き合い方まで含めて尊敬の念に堪えない。一途なオーナーの愛情を注がれながら、ランエボVIIのチューニングはまだまだ続いていきそうだ。
TEXT&PHOTO:山本 大介 (Daisuke YAMAMOTO)
●取材イベント:Option JAMBOREE 2022