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VR38改4.3L+GT75100BBタービンで1000馬力オーバー!
アップデートを重ねて勝てるマシンへと進化
日本未発売のインフィニティQ60(北米スカイラインクーペ)で、D1グランプリシリーズに挑み続けるSHIBATA R31HOUSE×蕎麦切広大選手。
蕎麦切選手のスキルはもちろん、アップデートを続けるマシンの戦闘力はいよいよ完全体に近づいており、直近の2戦(第5、6戦/オートポリス)は、どちらのラウンドでも単走優勝&準優勝を飾ったほどだ。ここではそんな注目マシンの最新スペックに迫っていく。
搭載されるエンジンは、R35GT-Rに与えられているVR38DETTだ。エビス戦までは4.1L+ツインターボ仕様だったが、現在は4.3Lドライサンプ+シングルターボ仕様となっている。わずかなインターバルで大幅な仕様変更を行ったのである。
複雑なEXマニを介して配置されたタービンはHKSのGT75100BB。ツインターボ仕様と比べてピークパワーに大きな差はないものの「前仕様は低速トルクがありすぎて扱いにくい部分があったんです。それが改善されて、2JZっぽいフィーリングで上まで使えるようになりました」と、使い勝手がかなり向上したようだ。
駆動系は、アルビンズのシーケンシャルドグミッションに、クイックチェンジ(デフ)という組み合わせだ。また、シングルターボ化にともなって、エキゾースト環境もアップデート済み(120φストレート)だ。
リヤサスタワーの前方、リヤシートにあたる部分には燃料タンクが搭載され、トランク部分にはラジエターをマウント。大胆にカットされたリヤウインドウとトランクパネルも特徴的だ。
車高調はJICの特注減衰仕様を愛用。スプリングレートはフロント28kg/mm、リヤ8kg/mmの設定だ。
切れ角に重要なフロントの足回りは、Z34メンバーを加工装着した上で、D1グランプリで装着率が高いワイズファブ製のアームキット(Z34用)を流用。これは、驚異的なアングルを実現することを目的としたエストニア製のドリフトパーツだ。なお、メンバー移植に合わせてエンジンのオイルパンも逃げ加工が施されている。
タイヤはもちろんR31ハウスが展開するシバタイヤ(F255/35-19 R285/35-20)だ。オートポリス戦からリヤを20インチ(以前は19インチ)のTW200に変更しており「現在のエンジン特性とマッチしていて、アクセルコントロールも楽になりましたね」と蕎麦切選手。
室内は完全なレーシング仕様だ。ドライサンプ化によって必要となるオイルタンクは、助手席足元に隔壁を設けて設置している。
大幅な仕様変更を実施して臨んだオートポリス戦では、99点の走りを連発して単走優勝。さらに追走トーナメントでも両日とも決勝戦までコマを進め、それぞれ横井選手と川畑選手に敗れてしまったものの、2戦連続で準優勝という結果を残したのだ。
これによってシリーズランキングは5位に浮上。首位とのポイント差は37と離されてはいるものの、勝負は最後まで分からない。最終戦での活躍に期待したいところだ。
TEXT&PHOTO:山本 大介(Daisuke YAMAMOTO)