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3ローターNAで290馬力を発揮!
あくまでも“純正風”に拘ったマシンメイク
オーナーである“だんぼ”さんのコンセプトは、長年ブレることなく「羊の皮を被った狼」で貫かれている。エクステリアは、砲弾マフラーこそ導入されているもののそれ以外は純正を維持し、チューニングカー的なワイルドさを極力表に出さないようにしているのだ。
心臓部は、ロータリーらしい官能性を追い求めて3ローターNAユニットを換装。このエンジンは、フィーリング重視のユーザーに向けて名門“RSパンテーラ”が開発したチューニングユニットだ。単純にターボパーツを撤去したユーノスコスモの20Bユニットを載せるのではなく、サイドポート拡大加工を施した上、RX-8の高圧縮ローターなどを使って最適化した実測290psのハイコンプNA仕様としている。
搭載位置に関しても、そのままではフロントヘビーでFD3S本来の切れ味が損なわれてしまうため、20Bユニットが完全にオーバーハング内に収まるよう設計。これにより前後の重量配分はフロント630kg/リヤ650kgと、わずかにリヤ寄りになるように仕上げた。これは偶然などではなく、トラクション性能を考慮したRSパンテーラの狙いの配分だ。
エンジンマネージメントには信頼性が高いF-CON Vプロ3.4を使用し、ダイナパックで緻密な現車合わせセッティングを施す。パワーバンドは4000rpm〜8000rpmと幅広く、回転上昇とパワーがリンクするため非常に扱いやすいそうだ。
ホイールはスピリットR純正…ではなく、極めて似たビジュアルを持つBBSのRG-R 17インチ。純正ホイールの相場が高騰しており、それならばと選んだのがこのホイールだった。
その他、アームやブッシュ類も部販で購入できるパーツは全て新品に変更。ただし、サスペンションだけは走行性能を考慮してオーリンズのロード&トラックを導入している。「ちなみに、ボディは一度フルストリップ状態にした上で、スポット増し溶接を入れながら仕上げました」と、だんぼさん。
インテリアも凄まじい。メーターナセルやセンターコンソールの純正パネルをピアノブラックでペイントした上、スイッチ類にはメッキ加工を実施。プラスチック感を完全払拭している。
さらに、レカロSR-5やダッシュボード、ルーフライニング、リヤのトリム類はタンレザー素材で張り替え、カーペットには高級ウールを採用。聞けば、インテリアは「今のマツダがFD3Sを作ったら」というコンセプトでメイキングを進めたそうで、現行マツダ車のインテリアコーディネイトを再現しているのだ。
コンソールボックスにはシートヒーター用スイッチとUSBポートを配置。先進的な装備も積極的に導入している。
だんぼさんは歴代ロータリーを何台も乗り継ぎ、現在はこのFD3S以外にもGRヤリスやRX-8など複数のスポーツカーを所有する生粋のカーガイ。チューニング&カスタムの“酸いも甘いも”噛み分けた男による拘りのFD3S、センスの良さが光るスーパーチューンドと言えよう。
PHOTO:堤晋一
●取材イベント:Option JAMBOREE 2022