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2.2L+VEヘッドで湧き上がる低中速トルクを確保!
作り手の拘りが凝縮された“快適”なサーキットスペック
長野県の“アームズ”が製作したS15シルビアは、ロールケージすら装着されていないエアコン&オーディオ付きの快適スペックながら、ラジアルタイヤで筑波59秒660という強烈なタイムをマークしたチューンドだ。
ハイペースでアップデートを繰り返している車両だが、今回はレスポンス重視のVEヘッド仕様時を紹介していく。
目指したのは、NAのような自然な吹け上がり。そのため、SR20DETエンジンはHKS2.2Lキットで排気量を拡大した上で、可変カム機構NEO VVLを備える通称“VEヘッド”を流用している。
組み合わせるタービンはGT3037、GT2835を経て、現在はGT-RSをセット。徐々にサイズダウンしているわけだが、これはラジアルでのタイム短縮を追い求めた結果であり、パワーよりレスポンスを重視したセレクト。ブースト1.6キロ時に最高出力は420psだ。
ちなみに一言でVEヘッドといっても、パルサーやプリメーラ、年代によっても色々と仕様が異なる。その中で、アームスが選択したのは最強のSRと呼ばれるT30エクストレイル用だ。
NEO VVL機構は、トラストのマルチスイッチングシステムを使って制御。カム切り替えタイミングをコントロールしているのだ。レブリミットは8500rpmの設定となる。
さらにアームズでは、低中速域のピックアップを重視したVEヘッド専用のロングポートインマニをワンオフ製作。プリメーラ用のカムを流用するなど細かい作り込みを重ね、3500rpm〜7000rpmという幅広いパワーバンドを獲得した。大容量のサージタンクはワンオフ品だ。
マフラーはメイン95φ→テール115φのアペックス製。スポーツキャタライザー付きのリーガルスペックだ。
足回りは、ラジアルタイヤとのマッチングを追求した20段減衰力調整式のオリジナル車高調でセットアップ。積極的に足を動かすセッティングになっており、吊るしのままで筑波1分1秒を刻む。
ホイールは前後とも18インチ(10J+20)のボルクレーシングTE37SL、タイヤにはハンコックのR-S3(FR275/35-18)をセットする。ブレーキには、BCNR33用のブレンボキャリパーを移植している。
自走でサーキットの往復をこなせるように仕上げられた室内。出力向上に伴い、ミッションは高い耐久性を誇るHPI製6速MTに変更される。クラッチはATSのカーボンツインだ。
エンジンルームには、オリジナルのミッションオイルキャッチタンクも装着。油量を増やしてミッショントラブルを予防する他、シフトの入りも良くなる。特にS15の純正6速にオススメだという。
エスプリのカーボンGTウイングにより強烈なダウンフォースを獲得。ウイング以外のエアロパーツはCウエストで統一。ボンネットはj.bloodのカーボン製だ。車重は1160kgだ。
ちなみにブースト制御にも拘り、HKSのEVC6で4000rpm以上のブースト圧を段階的に上げていくことで、コーナー立ち上がりでのホイールスピンを抑えつつ、高回転時域のパワーを確保している。ライトな仕様を匂わせるエクステリアの内側には、サーキット仕様としての秘策が凝縮されているというわけだ。
●取材協力:ARMS 長野県長野市北尾張部382−1 TEL:026-252-5220
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