「レース技術をフル投入した究極系S14シルビア!」剛強ボディにRB26を超ミッドマウントした衝撃作を振り返る

超高剛性ボディにフルチューンRB26を換装!

2000年代にヒートアップした、ショップデモカー同士のワンラップバトル『筑波スーパーラップ』。今回紹介するS14シルビアも、その戦線に投入された1台だ。本物のレーシングカーのノウハウとパーツで完全武装したそのメイキングは、今見ても凄まじいものがある。(OPTION誌2003年4月号より抜粋)

レーシングカーのノウハウを注ぎ込んだボディメイクも注目

このシルビアの作り込みは、チューニングカーというより限りなくレーシングカーのそれに近い。いや、レギュレーションのないGTマシンと言った方が正しいか。過熱する筑波スーパーラップ戦線に衝撃を与えたスカイブルーのS14、早速、細部を見ていこう。

エンジンはSR20から6発のRB26DETTにスイッチ。それもバルクヘッドを大加工して150mm後方&15mm下方へのフロントミッドマウントを実現している。エンジン自体はアペックスの鍛造ピストンを軸に強化済みだ。

前方の空いたスペースにはインタークーラーをほぼ水平にマウント。また、ミッションはテスト的にJZA80純正のゲトラグ6速をセットし、ファイナル3.7で煮詰めている最中だ。

タービンはフラットな特性を狙ってTD05ツインをチョイス。東名パワードのレイテック(フルコン)にてトルク重視のセッティングを施す。出力は現状700psだが、今後さらにマッチングの良いタービンを求めて仕様変更を行なっていく予定もあるという。

ラジエターはリヤのトランク内に移設。GT500マシンからヒントを得たそうだが、冷却効率はもちろん前後重量バランスの面でも非常に効果的だ。トランクパネル上部からフレッシュエアを導き、電動ファンによってリヤアンダー付近から強制排出されるレイアウトとなっている。

これらのモディファイによって、RB26スワップによる重量バランスの悪化は皆無。SRエンジンで製作されているチューニングカーと、同等の前後重量配分を実現している。

完全なドンガラ状態にしてから張り巡らされた40φのロールケージは、ボルトを一切使わずに全て溶接留め。取付角度やポイントも徹底的に計算し尽くされたものであることは言うまでもない。剛性アップへの取り組みは凄まじく、ダッシュボード内にもバーを這わせているほどだ。

さらに、バルクヘッド部やストラットタワーなど、必要と考えられる部分は抜かりなく徹底的なバー補強を敢行。これに合わせてフルスポット溶接増しも行っているのだから、ボディはまさに剛体と言っても過言ではない。

インテリアは機能美あふれる雰囲気。エンジンのミッドマウント化に合わせて、操作系も後方にオフセット。ペダルは吊り下げ式からティルトンのオルガンペダルに変更している。ステアリングはイタルボランテの330φだ。

サスペンションは、ZEALファンクションの車高調にベステックスのスプリングを合わせる。ブレーキはフロントに6ポット、リヤに4ポットのエンドレスキャリパーをセット。ホイールは前後共に、ニスモLM-GTマグネシウムの18インチで10J+20の通し。

また、リヤサスメンバーは有効ストロークを確保するため、取り付け位置を20mm上げてリジッドマウント。これらはレースで培ったノウハウをベースに、実際にレーシングカーの作りから応用したものだという。

本物のGTマシン譲りのパーツで構成されたエクステリアも強烈だ。S14に合わせて加工装着されたダイシンシルビア(S15)のGT300ボディキットによって、フェンダーは片側60mmワイド化を達成。フロントバンパーはヒッポスリーク製を加工装着している。

フロントフェンダーからサイドにかけては、1999〜2000年仕様のダイシンシルビアに装着されていたものを加工装着。空力最優先のエアロシステムだ。

リヤセクションも2001年仕様のダイシンシルビアがベース。大迫力のGTウイングは、ニスモのGT500マシンが採用していたドライカーボン製をそのまま使っている。

トランクのスペアタイヤ収納部分はカット。その部分の穴は、サイズ的にジャストフィットしたSW20用のエンジンフードで埋めている。

取材時はセッティング走行の段階だったが、それでも1分フラットで楽に周回していた。このシルビアが本領を発揮する日が来たら、筑波スーパーラップの構図が大きく変わるかもしれない

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