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トラスト渾身のフルチューンEJ25でダートラ界を席巻!
ダートラ界の帝王・谷田川選手の元愛機
現在は、4WD仕様の魔改造BRZで全日本ダートトライアル選手権に参戦している“帝王”こと谷田川選手が、かつて駆っていたのがこのクルマ。強豪ひしめく改造無制限のDクラスで、2014年シーズンのクラス制覇を成し遂げた、トラストカラーのGVBだ。
「コースによっては1速まで落すような回り込んだコーナーもあるダート競技では、ストップ&ゴーを多用します。そこで、このマシンではトルクの確保を最優先に考え、排気量の大きいEJ25エンジンに乗せ換えました」と谷田川選手は語る。
心臓部のEJ25は、コスワース鍛造ピストンとH断面コンロッドで強化。さらに、タービンをバルクヘッド側に追いやってエンジン前のスペースを確保、GC8の頃から実績があるという逆転インマニ化(取り付け位置を180度変える)によって、吸気経路を可能な限りショート化している。
そしてサクションパイプは100φ、インタークーラーパイプは60φ→70φの大口径仕様にして出力向上に繋げているのだ。
絶妙なクリアランスで装着されたタービンはTD06H-25Gの10cm2で、最大ブースト圧1.2キロ時に約450ps/60kgmを発揮。ウエストゲートはトラストのタイプCハイフロータイプを組み合わせる。
マネージメントは、高性能フルコン“Vi-PEC”による単体駆動だ。同時に必要なくなった純正エンジンハーネスを限界まで間引いて、軽量化に繋げている。
トラスト製の前置きインタークーラーはできるだけ上側にオフセットさせることで、ラジエターにも走行風が流れるようひと工夫。余計な重量増を嫌ってオイルクーラーはレスとしている。
サスペンションはクスコのコンプX車高調。バネレートはフロントが4.5kg/mmでリヤが4kg/mmという組み合わせ。
ホイールはボルクレーシングTE37グラベルの15インチに、ダートラ専用のタイヤであるアドバンA036(205/65R15)を組み合わせる。APのキャリパーもセットするがサイズは小さめ。それでも制動力は十分とか。
カーボンのダッシュパネルに必要最低限の計器類のみをマウントした、シンプルなインテリア。ステアリングはMOMOの350φで、シートはブリッド製のカーボンモデルだ。
大トルクをロスなく伝達するべく、キャロッセ製のドグミッションをセット。ファイナルは3.9をチョイスしている。油圧式サイドブレーキも投入される。
ロールケージは、まさにジャングルジム状態。ちなみに競技では1周2〜3kmのコースでの一発アタックということで、燃料タンクは3ガロン(約11.4L)という小振りなものがセットされる。
助手席側に設置されていたのは、ウォッシャースプレー用のタンク。インタークーラーやラジエターのコアにスプレーして冷却効率を引き上げるのだ。
エクステリアは、エアロテックジャパンのフルエアロを装着。軽さへの執念も凄まじく、FRPドアやアクリルウインドウ、ヘッドライトのくり抜き加工など徹底的に軽量化を推進し、ノーマルから約270kgものダイエットに成功。1030kgという驚異的な軽さを実現している。
Dクラスに移る前は、GDBで重量制限ありのSC3クラスに参戦。前人未到のシーズン7連覇(〜2011年)を達成している谷田川選手。
その際に使用していたEJ20は、最高出力こそ450psと現仕様と変わらないものの、最大トルクは50kgmほどだった。やはり、2.5Lがもたらすプラス10kgmの恩恵は大きいという。
「GVBはホイールベースが長い分、走りが安定していて安心感があります。逆に以前に乗っていたGDBと比べると、進入までの動きはマッタりとしていて、もう少し小回りが利けば良いのに…と感じることも。でも、そういう時もトルクがあるとアクセルでクルマの向きを変えやすい。パワーを掛けたい時に車体がすぐに反応してくれるので楽ですね」と、愛機の乗り味を語る谷田川選手。
圧倒的なトルクとレスポンスを実現したGVB改ダートラスペシャル。純粋な競技車両とはいえ、EJチューンのお手本となるようなポイントが数多く散りばめられた、文字通りのスーパーチューンドだ。
●取材協力:ヤタガワオートサービス 群馬県館林市下早川田町336-3 TEL:0276-72-8255