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速さと同時に“世界でたった1台”を求めたワンオフツインチャージド!
BD5純正プライマリータービン+ORC TX07スーパーチャージャー仕様
速さを求めるのはもちろん、同じクルマに乗ってるオーナーに対して違いを見せつけたい…ということも、チューニングを進める大きな原動力となる。このL880Kコペンのオーナーもそんな思いから、ツインチャージャー仕様を目指すことになった。
手がけたのは、ワンオフ過給機チューンを得意とする“ブレイヴァリー(※)”。純正タービンハイフロー仕様からのステップアップということで、タービンの大容量化を図ると同時に、確実に不足する低中速トルクをスーパーチャージャーでカバーするという方向でエンジン製作がスタートした。
ブレイヴァリーによると「軽自動車のエンジンは3気筒が一般的だけど、コペンのJB型は4気筒。排気量がたったの660ccなのに1シリンダー当たりの容積がさらに小さいから、なおさら下のトルクがないんだよね。それを解消するには、もうS/C装着しかないわけ」とのこと。コペンベースのチューニングという時点で、ある意味ツインチャージャー化は必然だったと言ってもいい。
タービンはアフター品に適当なサイズがなかったため、探しに探してBD5/BG5レガシィに搭載されるEJ20 2ステージツインターボのプライマリータービンを流用することに。最大ブースト圧は1.2キロで、660ccの排気量では5000rpm以上で本領発揮という、かなり高回転型の特性を見せる。
一方のスーパーチャージャーは、本来1.5Lクラス用のORC TX07をシリンダーブロックの後ろ側に装着。プーリー径によって最大ブースト圧は0.5キロにセットされる。
スーパーチャージャーのオンオフ制御にはeマネージのVTECマップを使い、エンジン回転数1800〜4000rpmとスロットル開度30〜60%、それにインマニ圧力の3つの条件が重なった時に作動するようなセッティングが施される。ターボのブースト圧はブリッツSBCで制御する。
また、ターボのブースト圧が0.5〜0.6キロに達すると、ブローオフバルブを流用したバイパスバルブが開いてスーパーチャージャーの作動が止まり、ターボで過給された吸気がダイレクトに送られるようになる。
インタークーラー本体はARCのHCR32用純正置き換えタイプを流用。コアを収めて走行風をできるだけ当てるため、バンパーは大胆にカットされる。パイピングの取りまわしも含めて、よくレイアウトしたと思わず感心。
レイアウトは“ターボ→インタークーラー→スロットル→スーパーチャージャー”…と書けば簡単だが「とにかくエンジンルームが狭いから、カタチにするのは大変だった」とのこと。
ブレーキにも注目! ブラケットを製作してDC5純正ブレンボを移植し、ベルハウジングに穴開け加工を施したプロジェクトμローターをセット。ホイールは7Jオフセット+33のボルクレーシングTE37。タイヤはピレリPゼロネロで195/40-16だ。
こうして完成したコペンのツインチャージャー仕様。優れた動力性能を発揮するのは言うまでもなく“世の中に1台しか存在しない”という事実も、オーナーの所有満足度を高めているのだ。(OPTION誌2014年12月号より ※ブレイヴァリーは現在閉店しています。)