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愛媛で捕獲された超絶珍モデル、ターボベースで屋根をブッた切り!
取って付けた感満点のソフトトップ。斜め後ろからの眺めが哀愁を誘う
製作中のクルマは別として、これまで、「自走できないクルマは取材しない!!」というポリシーを貫いてきたが、今回ばかりはそれを曲げる。なぜなら、そのクルマの存在を初めて知り、現存台数も恐らく2~3台だと思われるからだ。
それがシャレードカブリオレ…いや、正確にはコンバーチブルかもしれないし、もしからしたらダイハツらしく(!?)スパイダーかもしれない。そんなところからしてすでに情報が錯綜しているのは、肝心のダイハツにカブリオレ仕様が正式に発売されたという記録が残されていないからだ。
そこで、編集部は独自ルートを駆使して情報収集を開始。以下、シャレードカブリオレに関して得られた有力情報を羅列する。
- 「月号は忘れたけど、モーターマガジン誌で発売時の情報を見た記憶がある。限定台数は確か100台。また、“ダイハツ80年史”の87御堂筋パレードという写真にシャレードカブリオレが写っている」(G10系シャレード乗りにして極度のダイハツマニア徳島在住Nさんの証言)
- 「生産はダイハツ社内ではなく外注で行ってました。価格は当時160~170万円だったような気がします」(元香川ダイハツ営業、現在ダイハツ系販売店K自動車代表の証言)
- 「ガレージタルガという会社で架装し、特装車扱いでダイハツディーラーが販売してました。ただ、発売告知はせずカタログなどもないので、地域限定販売だったと思います。ディーラーがデモカーとして発注したものがほとんどなので、生産台数は10~20台じゃないでしょうか。価格は覚えてませんね」(元岡山ダイハツメカニック、現営業課長N氏の証言)
- 「雑誌名は覚えてませんが、発売時の情報を読んだ記憶がかすかにあります。かすかに…というのは雑誌を立ち読みしていたんですが、書店のおばさんがハタキをかけにくるのを恐れ、アセってナナメ読みしていたからです」(圓天ランキング現在首位のHGN岡山特派員I氏の証言).
- 「愛媛ダイハツのショールームに展示されていた車両を弊社従業員が譲り受け、しばらく足として乗ってました。その後、手放すことになった時、希少車だったので私が譲り受けて保管しています。生産台数は10台でした。時期は未定ですが、将来的には復活させようと思ってます」(シャレードカブリオレ現所有者Y氏の証言)
それぞれ微妙に食い違う証言。正式な資料がないだけに“裏”の取りようもないのが、何とも歯がゆい。
とりあえずディティールをチェックしていくとしよう。搭載エンジンは、1.0L直3SOHCターボのCB-50型。タービンはIHI製RHB32が組み合わされ、スペックは80ps/5500rpm、12.0kgm/3500rpm。カムカバー上“TURBO”のロゴが入るのは容量1.0Lのサージタンクで、吸気脈動を安定させ充填効率を高める。キャブターボというのが時代だ。
インパネはカタログモデルのTURBOに準じたもの。ウレタン製3本スポークφ370ステアリングホイールやシフトノブ、AM/FMラジオが標準装備される。
TURBOベースのため、前席は大きく張り出したサイドサポートを持つセミバケットシートを装備。運転席はサイドサポート調整機能も付く。また、座面前端はペダル操作性を考えて左右分離式となる。
後席は、左右にソフトトップが収まるスペースを確保したことで3人掛けから2人掛けに変更される。
サイドウインドウは当然、三角窓の部分だけガラスが残ると思っていたら、“全面が開閉する”という予想の斜め上をいくアクションを見せた。ちなみに、後に発売されたリーザスパイダーも同じ構造となっている。
本来、シャレードはリヤにハッチゲートを持つが、オープンボディ化に伴って独立したトランクリッドを新設。開けた時にリッドを支持するダンパーなど持たないため、左端に開けた状態で固定するためのロッドが設けられる。
取材車両の助手席グローブボックスから出てきた発売当時のモノと思しき写真。通常、樹脂色ブラックのままとされるフロントグリルや前後バンパーがボディ同色となっている点に注目。TURBOには、オプションとしてグリルやバンパーをボディと同じ白で塗ったホワイトパックが存在したが、それに準じたモデルということだろうか…。
完全にミステリアス…、謎に包まれた1台。ただひとつ言えるのは、G11シャレードをベースにしたオープンモデルが生産されたのは紛れもない事実ということだ。ともあれ、この車両の詳細をご存知の方がいたら、ぜひとも情報提供していただけると助かります!
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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