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パイロンスラロームも自由自在
1万1000ccのターボディーゼルで駆け抜ける!
「おっ、ラーマン山田じゃん。今回はどんなクルマの試乗か?こんなトラックに積んでくるってことはかなりスペシャルなマシンに違いないな!」と思った貴方は残念ながら不正解。
何とラーマン山田が今回ターゲットとしたのは、この大型トラック。多くのチューニングフリークにとっては未知の乗り物である、最新最強の大型トラックを体験しようというわけだ。
試乗車として用意されたのは、UDトラックスの「Quon(クオン)」。2017年にフルモデルチェンジされ、毎年進化を果たしている2022年モデルで、日本では最大サイズとなる車両総重量25tのCG8×4(8軸、後4軸駆動)標準キャブ標準ルーフ底床タイプ。車両の全長は驚きの1万1980mm、全幅は2490mm、全高は3790mm、車両重量は1万1120kgだ。
約11トンの車体に最大14トン弱の荷物を乗せて走るためのエンジンは、総排気量1万1000ccの直列6気筒ディーゼルインタークーラーターボのGH11型。クオンシリーズでは300psから430psまで出力特性の異なる6タイプが用意されているが、試乗車に搭載されているのは最高出力400ps、最大トルク2000Nmという仕様。組み合わされているミッションは、前進12段電子制御式オートマチックのESCOT-IVだ。
ラーマン山田と比べてみれば、パワーユニットがいかに大きいかがよく分かる。米国カミンズ製のタービンやインタークーラー、エアクリーナー、給排気のパイピングなど補機類も、ひとつひとつが見たこともないくらいのサイズで驚いてしまう。
クオンシリーズの大きな特徴のひとつが、国産大型トラックでは唯一となるディスクブレーキだ。キャリパーは新幹線にも採用されているドイツのクノールブレムゼ製で、ローターはお馴染みのブレンボ製。様々な電子制御システムとの組み合わせで、積荷に優しくドライバーの疲労軽減を実現している。
サスペンションはフロントがリーフ、リヤがエアサスとなっているが、これもブレーキと同様に積荷を大切に運ぶための装備。フロア下にはサスやブレーキアシスト用の巨大なエアタンクのほか、最大600L(標準200L)まで増やせる燃料タンクとアドブルーのタンクが装着されている。
底床タイプの装着タイヤ&ホイールは19.5インチで、ブリヂストンエコピアM801とアルコア製アルミホイールの組み合わせ。標準車では22.5インチとなる。
まるで乗用車のような洗練されたインテリアもクオンシリーズの特徴で、メーター内にはハンドルのスイッチで操作できるマルチモニターを装備。衝突軽減ブレーキや各種警報など先進の安全装備も満載だ。
エアコンはフルオートで、カップホルダーや大きなコンソールボックスは保温保冷機能付き。シートはトラック界のレカロと言われるドイツのイスリングハウゼン製ベルトインタイプで、ポジションやダンパーの具合を細かく調節できる。シート後方には休憩や仮眠用のスペースも備えている。
さて、気になるのはそんな最先端の大型トラックの走りだが、試乗を終えたラーマン山田の開口一番は「乗り心地はまるで高級SUVって感じでとにかく快適。いやぁ、大型トラックの進化もスゲェぞ!」というもの。ドライブレンジに入れて、アクセルを踏むだけでリミッターの効く90km/hまでフラットに加速し、直進安定性も素晴らしいというのだ。
また今回はタイトなパイロンスラローム区間や車庫入れセクションも設定されたが、強力アシスト付きのパワーステアリングにより据え切りも楽々。自動補正機能により、ワダチや荒れた路面でもハンドルを取られることもない。「クオンに乗って大型トラックに抱いていたこれまでのイメージは完全に変わったよ。こんなに楽で快適なら、女性や小柄なドライバーでも余裕で扱えるな」と、興奮しながら語ってくれた。
なお、ライブ感溢れる試乗の模様はビデオオプションで公開されているので、ぜひチェックしていただきたい。
TEXT:川崎英俊/PHOTO:堤晋一