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禁忌に触れる問題作
フェラーリを全否定した先にある唯我独尊の存在感
ここで紹介する“IMSフェラーリ&RE雨宮”は、東京オートサロン2022で発表するやいなや、その強烈なコンセプトと日本車離れした独創フォルムが大きな話題を呼んだストリートモデルだ。改めて細部を見ていく。
往年のグループCカーをオマージュしたというボディは、フェラーリ伝統の鋼管スペースフレームを活かしながら、カウルを被せるという手法でメイキングが進められた。
エクステリアは全てRE雨宮オリジナルで、その独創的なレーシングシルエットは圧巻の一言だ。なお、取材時はサフェーサーが吹かれた状態だったが、直後に美しいメタリックシルバーへとペイントされた。
「このテスタは、知り合いからのオーダーでね。打ち合わせを繰り返しながら、あえてレトロ感を出すように仕上げたんだ」。我が子を見守る父親のような表情で雨さんが語る。
パワーチューニングも凄まじい。本来、フェラーリ至宝のV12ユニットが収まるリヤミッドには、4ローターツインターボエンジンが鎮座する。このパワーユニットは2020シリーズのD1グランプリを戦い抜いた800ps仕様に限りなく近いとのこと。つまり、純然たるレーシングスペックなのである。
内部はサイドポート拡大加工が施され、そこにウエストゲート式のTD06-25タービンをツインでセット。インタークーラーはエンジン上部に水平マウントされ、フレッシュエアはルーフに設けられた大型のエアダクトから取り込むようデザインされている。
エキゾースト環境は名門“パワークラフト”によるワンオフ。大型のサイレンサーがストリート仕様を物語る。
インテリアはMDFなどを使いながらデザインを再構築。そこにテスタロッサの面影はない。メインメーターはAIMのMXGに置き換えられ、その横にはアルパインの2DINナビゲーションシステムがインストールされる。
シートはRE雨宮とブリッドのコラボモデル。ジータ系ではなく、快適性に特化したストリームスとしているのがポイントだ。
ミッションは前車軸が一体となったスバル用の6速MT&デフを流用。なお、内部ギヤにはWPC処理が施されている。
サスペンション形状に変更はない。車高調はカスタムメイドのアラゴスタで、スプリングには活用領域でのバネ定数精度が抜群に高いスウィフト製をセットする。
ホイールは19インチのエンケイPF05Sで、タイヤにはヨコハマのアドバンスポーツをセット。その奥で存在を主張するブレーキはストップテックのキャリパーシステムだ。
現実的な国産ピュアスポーツの誕生が難しい昨今、チューニングという言葉にはベースモデルの“調律”のみならず、新たなるカタチの“創造”も意味合いとして含まれるようになってきた。その第2の流れを生み出したチューナーこそ他でもない雨さん本人なのだが、最後に彼のイマジネーションの源とも取れる言葉をひとつ紹介しよう。
「世界を見るとさ、デザイン性が高くて個性的なのばっかじゃん。なんか悔しいじゃん、日本人としてさ。負けたくないんだよ。だから俺は作り続けるんだ、夢のあるチューニングカーをね」。
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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