「レーシングスーツに刺繍の時代はもう古い!?」難燃性を維持したままデザイン自由自在な新技術!【東京オートサロン2023】

縫製箇所も最小限でドライバビリティも向上!

車検対応シート&レースセットは適合拡大中

スパルコの正規代理店として国内向けにパーツ展開を手掛ける“エンパイヤ自動車”は、「インフィニティプロジェクト」と銘打った、デザインオーダー可能なレーシングスーツを展開中だ。

レーシングスーツのデザインで最大の障壁となるのが、レギュレーションに対応するためのFIAが定める安全基準をパスすること。そのため、スーツの生地には特別な難燃素材が使われているわけだが、この基準はもちろん後付けされる刺繍やワッペンなどのスポンサーロゴにも厳しく適用される。

これによって、従来のデザインは「凝った刺繍を作る」もしくは「様々なカラーの難燃素材の布を重ねてパターンを作る」といった手法に限定されてきた。つまり、オーダーデザインを作る上でも、基本はメーカーが用意するデザインパターンから選ぶというのが一般的だったのだ。

だが、インフィニティプロジェクトは「昇華プリント」という新技術によって、スーツそのものにデザインプリントが可能になったことで、自由度が圧倒的にアップ。さらに、PCで作成したデータがそのままプリントされる仕上がりの良さも特徴。余計な縫製が加わらないため、ドライバーの操作性の悪化にも繋がらないのもメリットだ。

KYOJO-CUPなどのレースで活躍するレーシングドライバー・翁長実希さんのスーツは全身に鮮やかな花柄や蝶がプリントされているが、こういった細部まで手を加えたデザインのFIA規格スーツを仕上げることは従来の技術では到底不可能だった。

ベースとなるレーシングスーツも、INFINITY5.0として2023年モデルへアップデート。アウターレイヤーに軽量かつ薄く柔軟な新素材を採用したことで動きやすく、よりドライバビリティのアップに繋がる改良が施されている。

そして、もうひとつのトピックが、昨年から手掛けているスパルコ製シートの車検対応モデルの適合拡大。

これまで、スパルコファンにとって悩みの種だった車検問題。日本で社外シートを装着しながら車検を通す際には、シートだけでなくレールも保安基準を満たしている必要があるが、スパルコでは未対応のままだった。

しかし、エンパイヤ自動車は自社でセットの専用シートレール開発を進めることでこれを解決。元はナンバー付き必須のワンメイクレース参戦車両向けに始めた取り組みだったが、現在はフルバケのREV-JでGR86(ZN8)とヤリス(MXPA10)の2車種。リクライニングのR100-Jシリーズで9車種以上に対応。今後も随時適合を拡大していくとのことだ。

PHOTO&TEXT:長谷川実路

【関連リンク】
sparco
https://www.sparco-japan.com/
エンパイヤ自動車株式会社
https://www.empire.co.jp/

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption