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絶版となったアイテムのリプロ企画も自社で進行!
機関系のみならず電装系パーツも幅広く対応
設立から2023年で9周年を迎えた埼玉県入間市の“T3TEC”。NSXチューニングで名をあげたKSP豊泉さんが独立開業したショップで、以降、現在までNSX専門店としてその名を轟かせてきた名門だ。
「僕は設計と電気を専門にしてクルマの道に入ったんで、そこがメカ出身のチューナーさんたちと根本的に違うところでしょうか。典型的な理系の思考回路と思いついたらやめられない性格なんですよ(笑)」とは、NSXドクターの異名を持つ豊泉さん。
「ひとつのトラブル事例でも、その場限りの対処で終わらせたくないんです。いずれ同じトラブルを抱えたNSXが必ずやって来ると考え、対策作業をメニュー化します」と続ける。
以前は特殊で手間のかかるATの修理はコスト的に合わないので避けてきたが、現在は専用の作業台と単体テスターを作ったという。また、トラブル事例でお客さんが間違った対処をしないよう、破損・劣化事例のサンプルや画像も多く残している。その場限りの簡易的な対処がクルマの寿命を縮めてしまうことも多い。それを示すべく実際の事例をユーザーに見せて説明するのだ。
エンジンはNA1であってもNA2のブロックを使い、3.2L仕様でリフレッシュするケースが大半。T3TECオリジナルのピストンやハイカム、ビッグスロットルなどを軸とした定番メニューで350ps程度に仕上げるのが、体感度も高くライフは長くでお勧めだという。
最近多いのがメーター基盤のショートによる不具合で、発火した事例もあるという。ディーラーからの依頼でメーター単体が送られてくることも多いため、ダミー信号でメーターを動かす装置や、パルス信号によるチェック装置なども専用に作ってしまったほど。
今取り組んでいるのが製廃となったヒーターユニット(ヒーターコア&周辺作動ユニットの一体化部品)のリプロ企画。樹脂パーツのケーシングは洗浄再使用し、コア類などはパーツメーカーに同等品の製作を依頼しているという。
「部品さえあれば多くの症例は直せるのですが、何より怖いのは部品の製造廃止。対策として集めたパーツストックはすでに数億円分。多分、まだまだ増えていきます。でも、ホンダさんではできないユーザー向けの対応も、ウチの規模ならフレキシブルに展開できる。そう信じて、万全の体制を整えるために備えと準備を日々進めています」とのこと。
NSXと共に一生を過ごすと決めたNSXドクター、豊泉さんは日々新たなチャレンジを続けている。
●取材協力:T3テック 埼玉県入間市南峯1095-18 TEL:04-2941-6210
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