「メカチューンか? それともターボか!?」異なるアプローチで覚醒した2台のアルテッツァにズームイン

仕様違いの2台から見えるアルテッツァの楽しみ方!

トヨタ車チューンを得意とする“テクニカルショップ・アンフィニ”には、当然数多くのチューンド3Sが生息する。その代表的なマシンが、ここで紹介する2台のアルテッツァだ。500psも可能なターボチューンと、NAのフィーリングを楽しめるメカチューン、それぞれのスペックをチェックしていく。

TD06SH-25Gボルトオンターボ仕様

まずシルバーの方から。このアルテッツァはストリート仕様を前提にしながら、アムクレイドゼロヨンにフル参戦し、全国大会出場を決めたボルトオンターボ仕様。キット物のポン付け仕様ではなく、目標出力500psをクリアするため、ピークパワー重視のTD06SH-25Gが選ばれている辛口仕様だ。

タービンの性能をフルに引き出すには圧縮比を下げてブースト圧をできるだけ高めるのと同時に、エンジン本体の耐久性を向上させる必要がある。そこでピンハイトが低く、圧縮比の調整が楽なHKSの2JZ用87φピストンと強化コンロッドを組み込み、純正ヘッドガスケット2枚重ねで対応。圧縮比はノーマルの11.0から8.6へと引き下げられ、常時1.5キロで480psというパワーと余裕の耐久性を両立。

ヘッドはポート研磨を始め一通りの加工を施して、戸田レーシングのハイカムと強化バルブスプリングをセット。F-CON Vプロの疑似エアフロ信号でVVT-iの微調整を行い、2500rpm以上のオーバーラップを拡大することで、低圧縮比+ハイカムによる低中速域でのモタツキを改善しているのが見どころだ。

スロットルは、レスポンスが今ひとつで、ターボ化にあたっては吸気抵抗にもなってしまうノーマルの電子制御式に代えて、インフィニティ用90φを装着。パイピングもIN、OUTとも90φとされ、吸気量の増大とレスポンスアップを実現しているのだ。

ポン付けレベルの低ブースト仕様では必要なくても、このレベルのチューニングになると当然、燃圧確保が必要になってくる。燃料ポンプやインジェクターの大容量化に合わせて燃料のリターンパイプを引き、調整式レギュレーターが組み合わされる。

バンパー奥にトラストオイルクーラーをセット。一方、ラジエターはノーマルでも十分な容量があるため、エア抜きタンクの増設とローテンプサーモスタットへの交換、電動ファン作動ポイントの引き下げだけで問題ないそうだ。

ゼロヨン大会ではブースト圧をさらに高め、500psオーバーでアタック。快適装備満載のストリート仕様を基本としながらこれまでのベストタイムは11秒8とのことだから、その実力はやはりハンパではない。

ハイコンプNA仕様

そしてもう1台のアルテッツァは「思った以上に遅いノーマルをNAチューンで速くしたい」というオーナーのリクエストに応えるカタチで製作された。

NAチューンというと、普通はカム交換をはじめとしたヘッドまわりから攻めると思われがちだが、アンフフィニ宮田代表が選んだ手法は排気量アップ。過給に頼れないNAチューンでは、それこそが全回転域における究極のパワーアップ法だし、誰が乗ってもノーマルとの違いをハッキリ体感できるから…というのがその理由だ。

腰下に組まれたのは1mmオーバーサイズの87φピストンと、ストローク量7mmアップのクランクシャフトを軸に構成される戸田レーシングのキットで、排気量は2210ccまで拡大。

同じ排気量アップでもロングストローク化が大きく効いていて、12.8まで高まった圧縮比と相まってパワー、トルク共に全域で10%上乗せされている。中でも低中速トルクは大幅に向上。ピークパワーも実測で210psに到達しているのだ。

エキマニは45φで4-2-1タイプを採用するHKSレーシングヘッダーを装着。バイパスパイプを設け、マニホールド内で発生する正圧、負圧をコントロールすることで、特に低回転域で出がちなトルクの谷を解消している。

制御はF-CON Vプロが担い、燃調、点火時期の制御をはじめ、疑似エアフロ信号によるVVT-iの作動ポイント変更も行われている。これによりNAチューンの醍醐味といえる高回転域でのパンチも十分。レブリミットは8300rpmまで引き上げられている。今後4スロ化などのチューニングにも対応できるなど、ステップアップも見据えたチョイスだ。

ノーマルからのそんな変貌ぶりには、オーナーも大満足の様子。ただし、宮田さんとしてはアクセル操作に対して加速、減速がどうしてもワンテンポ遅れる電子制御スロットルに不満があるという。「4連スロットルにすれば、速さもレスポンスも向上するし、もっと楽しくなるよね」とのコメントから分かるように、まだまだ進化の余地も残されているというわけだ。

終わりに

アルテッツァというベース車両こそ同じだが、オーナーの好みや目的によって全く異なるクルマに仕上げられた2台。3Sエンジンのチューンドベースとしての可能性を示した、トヨタチューンの名門アンフィニの意欲作だ。

●取材協力:テクニカルショップ・アンフィニ 埼玉県川口市西立野472 TEL:048-294-6161

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