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本物のGT3車両をベースに徹底チューン!
軽量ボディに1300馬力の強心臓を搭載
チューニングカー世界一を決するWTAC(ワールドタイムアタックチャレンジ)には、様々なマシンが参戦している。その中でも特に個性が際立っていたのが、オーナードライブのPRO-AMクラスで総合2位を獲得したアウディR8だ。
ベースマシンは市販のR8ではなく、本物のGT3車両(R8 LMS GT3)。クラッシュしたレースカーを安く引き取ってきたものだというが、各部のメイキングは我々が知るタイムアタック車両とは一線を画す作りだ。
GT3カーのためボディは市販車ベースのモノコックだが、室内空間を残して前後はバッサリとカットしてパイプフレーム化。サスペンション形式はダブルウィッシュボーンだが、ダンパー(オーリンズ製)は前後ともにプッシュロッド式を採用する。
フロント周りは恐ろしいほど大型のウイングが覆い尽くす。エアロパーツ類は全てドライカーボン製だ。ちなみにアウディと言えば4WDシステムのクワトロがお馴染みだが、この車両はリヤ駆動の2WDだ。
ボディワークはR8 LMS GT3がストック状態で装備しているロールケージに加えて、WTAC参戦に合わせたバージョンアップが加えられている。
搭載されるエンジンは、ランボルギーニと共用の5.2L V10がベース。元々は自然吸気のエンジンだが、究極的なパワーを求めて左右バンクに1機ずつ大型のタービンを配置、シンメトリカルターボ仕様を創出している。
チョイスしたタービンはギャレットのGTX3582R。1機で軽く700psオーバーを発揮できるサイズで、これに最大ブースト1.5キロを掛けて1300psものパワーを引き出している。燃料はもちろんアルコール系のE85だ。
マネージメントはモーテックの最高峰モデル“M150”が担当。PDMモジュールやロガーモニターも装備される。
ミッションケースにはアウディとランボルギーニの刻印が入っているが、中身はホリンジャーの6速ドグだ。シフト操作はステアリングに備えられたパドルで行う。
GTカーベースのチューンドというのは日本ではまず見ないが、WTAC(プロクラス)においてはレギュレーションさえ守っていればベース車両やメカニズムなど関係ない。速さこそが正義、まさに化物達が集う戦場なのだ。