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全方位へロー&ワイドをアピール!
計算尽くしのグラマラスフェンダーに注目
ディスク面が完全に隠れてしまうほどの超絶ディープリムに、前後200mmワイドで仕立てたオーバーフェンダー。“ポルシェ911不遇のモデル”とされる996で、唯一無二のカッコ良さを追求してきたのが、走りとスタイルの双方からアプローチするオーナーの畑さんだ。
購入から3年はストックボディのままで走りを楽しんでいたが「GT3エンジン搭載の走れるロー&ワイドスタイル」という究極のカレラを目指して、2017年ついにボディワークへと着手。究極のオンリーワン仕様を実現するべく、リバレル加工(リム交換)したホイール『ハーマンPG3』に合わせて、グラマラスなフェンダーをワンオフした。
ここで注目すべきは、200mmというフェンダーボリュームよりも、全方位へと圧巻のインパクトを放つ計算し尽くされた造形美だろう。
まず取り組んだのは、ラジコンボディを使った仕上がりイメージの探求。俯瞰も含めてアングルを問わずに映えるラインやボリュームバランス、ダクト使いなどをハッキリ思い描いた上で、ワンオフカスタムに定評高いボディショップ『リフェクト』にフェンダー製作をオーダーしたのだ。
ダクト類を巧みにあしらって立体感に配慮しても、200mmものワイド化を果たせばアングルによっては視界から外れてしまう。そこでスパイスとなっているのが、フェンダートップの形状。ボディへ馴染ませるのではなく頂点からボディへ落とし込んだ形状とすることで、立体感とともにフェンダーラインを引き立てた。
ちなみに、ホイールのリバレル加工も拘り尽くし。海外のカスタムリムを使えば奥行き感やサイズコントロールは楽だと分かっていたが、OZレーシングのリムを採用するハーマンPG3のオリジナルを崩したくなかったため、インナーとアウターの入れ替えを実施。そのままでは仕上がりがやや粗かったインナーリム形状も抜かりなく整えている。
なお、リバレル後のホイールサイズはフロント9J×19-60、リヤ11J×19-70と強烈だ。
現状でもイベントでアワードを獲得する完成度を誇っているが、フロントバンパーサイドへのカナード追加やロールケージ投入など進化プランはまだまだ尽きない。というのも、畑さんは一気に仕上げるのではなく、進化の過程を楽しみつつ熟成度を高めていくスタンスで取り組んでいるためだ。
カスタム感を打ち出しつつもボディとの一体感に拘ったメイキングで、世界に1台のカッコ良さへと着実に突き進むタイプ996。そんな畑さんの熱き想いは、ボディサイドにあしらったポルシェエンブレムの中から解き放たれて駆け出そうとする馬の姿へと深く強く込められている。
PHOTO:Naotoshi Toshioka TEXT:Junya Murata