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エンジンはなんと可変バルタイ付きのK6Aターボ!
ブーストトラブルを抱えながらもクラス3位の快速ぶりを発揮
マジョーラグリーンで彩られたこのJB23型は、“Attack筑波2023”のジムニーSLクラスに参戦したニューカマーの愛機。製作したのは、JSTC(ジムニースーパートライアルチャンピオンシップ)でトップクラスの実力を誇るジムニーカスタム専門店“オールホイールズトライバル”だ。
聞けば、今回のAttack筑波でジムニークラスが新設されたきっかけは、トライバルからAttack主催者・青木さんへの「ジムニーは1分10秒切りを狙えるから軽自動車クラスに参加させてほしい」という一本の電話だったという。つまり、この車両は10秒切りを達成するために生み出された存在というわけだ。
パワーユニットは一見するとJB23標準のK6Aだが、細部をチェックしていくとカムカバーのフロント側に見慣れない膨らみが…。実はこのエンジン、ベースはアルトワークスやMRワゴン等に搭載されたVVT(可変バルタイ機構)付きのK6Aなのである。
腰下はトラスト鍛造ピストンとフォレストエンジニアリングのH断面コンロッドで強化し、ヘッドにはVVT用のオリジナルハイカムをセット。タービンはZC33Sスイフトスポーツ純正で、ワンオフの大容量サージタンクには電子制御方式のスロットルを組み込んでいる。LINKフルコンによる綿密な制御で、最大ブースト圧2.3キロ時に180psを絞り出している。
排気系は、トラストのフロントパイプからクロスジョイのエンドマフラーに繋がるレイアウトだ。
冷却系チューンも抜かりなく、グリル内の前置きレイアウトとしたインタークーラーを配置。ラジエターはコーヨー製の2層タイプで、オリジナルのオイルクーラーも装備する。
ドライブトレインもこのマシンの大きな特徴で、何とトランスファーまで排除して完全なFR駆動としているのだ。そのために必要となるプロペラシャフトもナプレックでワンオフしたというから恐れ入る。
FOXベースのオリジナル車高調は、下側スプリングシートを製作してID65タイプの直巻スプリングを組めるようにしているのがトピック。バネレートはフロント10kg/mm、リヤ6kg/mmの設定。アーム類もトライバルのオリジナル品に変更済みだ。
タイヤ&ホイールはボルクレーシングA-LAP(FR6.5J−20)にトーヨープロクセスR888R(FR205/50R16)という組み合わせ。分厚いスペーサーも追加してワイドトレッド化を図っている。
ライバル達がその実力に注目する中、トライバルの奈良代表自らのドライブで記録したタイムは今回の3番手となる1分12秒357であった。ただし、このタイムはガスケットトラブルでブーストが逃げてしまっている状態(走行後に判明)だったことを付け加えておきたい。
そのことを知った奈良代表は「VVTによるワイドなパワーバンドに加え、足をさらに煮詰めれば10秒切りが狙える」と、このスーパーチューンドへの自信をさらに高めたようだ。
REPORT:川崎英俊/PHOTO:金子信俊&川崎秀俊
●取材イベント:Attack筑波2023