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第二世代GT-Rの可能性を追求し続ける紅き弾丸!
独自の4WD制御で回頭性を極限まで高める
レーシングカー製作も得意とするチューニングショップ、“ガレージ伊藤”が製作したサーキットアタック仕様のBNR34だ。同社は過去に幾度となくBNR34のデモカーを製作しており、「第二世代GT-Rの中でも、特にクルマとしての完成度が高い」というのがBNR34で戦い続ける理由のひとつだ。
エンジンはGTブロックベースの2.8L仕様で、走行会系ユーザーにもフィードバックできるお手本的なスペックだ。ハイブーストに対応するキャパシティはあるが、設定ブーストは1.5キロに抑え、8000rpm前後でのシフトを心がけることにより、製作して10年が経過してもなお現役で戦い続けているのだ。なお、タービンはT88-34Dからオリジナル三菱製改に変更して700psを絞り出している。
軽さと剛性を高次元で両立させるため、不要な駄肉やブラケットは徹底的に削り、フロア下も含めて手間ひまをかけてフルスポット溶接を施す。クロモリ鋼で構成するワンオフロールケージは、製作から時間が経過した現在も強靭さは健在で、ドライバーにヨレやネジレを感じさせない。ウエイトはBNR34としては軽量な1350kgとなっている。
随所で細かな軽量化が積み重ねているが、ヘッドライトもその一例。ノーマルのユニットを残しながらも徹底的にくり抜き、ハイビームも存在しない。BNR34でネックとなるヘビーなフロント重量を軽減する狙いだ。
ミッションはホリンジャー6速を導入し、エンジンのパフォーマンスを引き出すため、特にトランスファーの整備は日頃から念入りに行う。デフとミッションのオイルクーラーはHPI製が取り付けられている。
サスペンションはクァンタムのダンパーとノヴァ製スプリングの組み合わせ。取材時は岡山国際仕様のフロント16kg/mm、リヤ18kg/mmだった。アーム類は強度アップとピロ化をはかるため、イケヤフォーミュラの調整式を導入している。
フロントバンパーのサブダクトからは複数のダクトホースが引き込まれ、ブレーキ、フロントデフ、タービン、トランスファーなどへ導く。冷えた外気を積極的に送り込むことで、熱害のリスクを最小限に抑えている。
ダウンフォースを積極的に獲得するため、フロントにはシーウエストのフルバンパー+カナードを装着。リヤはトランクスペース内に骨組を構築した上でボルテックスのGTウイングを装着している。とはいえ、あくまでもチューニングカーであり続けるため、アンダーパネルによるフルフラット化などはせず、空力パーツを最小限に抑える。
市販のフロントバンパーとGTウイングのみのシンプルなエアロ構成ながら、富士スピードウェイでは1分41秒台という強烈なタイムをマークし、周囲を驚かせた。その後も各地のサーキットで衝撃的なタイムを刻み続けている。
空力デバイスに頼らず、大きくタイムを短縮する原動力となったのは4WDシステムのコントロール。以前からノーマル制御はGが掛かるほどに2WD傾向が強まることを把握していたため、4WDとして駆動する領域を増やす方向でリセッティング。ただし、2WDの方が曲がりやすいコーナーも存在するため、4WDの制御を極限まで煮詰めているという。
それによって挙動は激変し、タイムが一気に上昇。テスト&アタックを担当するレーシングドライバーの井入宏之選手も「以前はジャジャ馬をなんとか走らせている感じだったけど、安定性が一気に高まった」と話す。
その一方で、当初はアクセルオフでのアンダー傾向が強かったため、2WAYだったフロントLSDを1WAYに変更。これにより抵抗が軽減され、スムーズに回頭するようにもなった。
なお、デモカーは2018年末に本格的なエアロチューンを敢行し、さらなる高みを目指してリスタートを切っている。第二世代GT-Rの頂上を目指した戦いはまだ終わらないのだ。
●取材協力:ガレージ伊藤 大阪府茨木市島3-3-20 TEL:072-637-8511
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ガレージ伊藤
http://www.garage-ito.com