目次
950キロの高剛性ボディにハイコンプNAユニットを搭載!
軽量化とサスセッティングで磨かれた走り
ホンダ車チューンの名門“ジェイズレーシング”が、お遊びの耐久レース仕様として育てたGE8型フィットRS(後期の6速MTモデル)の登場だ。
エンジンはオリジナルピストンの導入によって、圧縮比を10.4から11.0へと高めたハイコンプ仕様だ。同時にフローベンチテスターで収集したデータを基にヘッドチューンにも着手。バルブシートカット、燃焼室容積合わせ、ポートの段付き修正などによって精度を一気に高め、約140psを発生させている。
レースは3時間の長丁場のため、ノントラブルで走り切るための冷却対策として通気性の良いエアロボンネットは不可欠。これ以外にも、ラジエター、ローテンプサーモスタット、ラジエターホース、高性能クーラントなど、一通りの冷却対策を実施している。
足回りは、クラックスベースのオリジナルサスペンションキットを軸にセットアップ。バネレートはフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmだ。タイヤのグリップ性能だけに頼らず、積極的にストロークさせて高い接地性を確保することを目指したセッティングとなっている。
フロントのロワアームは、精力的にテストを重ねて開発した「ハイキャスターピロアーム」を装備。ブッシュをピロボールへと変換し、同時にキャスター角も寝かすことで、直進安定性の向上とピッチング(縦に揺れる現象)を解消する。
フロントのサブフレームは溶接で補強を加え、強度を大幅に引き上げる。ハイグリップタイヤの装着やスプリングのハイレート化などによる負担増が予想されるため、過度のストレスにも耐えられるベース作りに取り組んでいるのだ。
ブレーキは、フロントに6ポットキャリパーと294mmローターを導入。これにより、ブレーキングポイントが大幅に縮まり、頼りなかったキャリパー剛性も改善できるという。また、キャリパーの容量アップに伴い、マスターシリンダーもオリジナルの大容量タイプに変更済みだ。
タイヤは、ユーザー間では205幅が主流だが、コーナーでの接地性向上を狙って16インチの215/45サイズを選択。フェンダーの小加工で225幅の装着も可能だが、非力な小排気量NAではパワーロスに繋がる可能性もあるため、過度なワイド化は避けたのだ。
室内は、カーナビ、エアコン、ヒーターなど、走りに関係のない快適装備が徹底的に排除。ステアリングも市販のボスを使わずにフォーミュラ仕様のステアリングに交換。これだけでも2kgほど軽くできるそうだ。
ボディ補強も徹底。オクヤマの市販モデルをベースに、リヤを中心にパイプが追加され、9点式ロールケージを構築。さらにA/Bピラー部は溶接固定してしまうことでボディとロールバーの一体感を高め、強靱なボディへと進化させている。
この他、フロント重量を軽減して回頭性を向上させるためにボンネットやフロントバンパーをカーボン製に変更。剛性を犠牲にせずにできる重量削減としてルーフのカーボン化まで実施し、車重は950kgまでシェイプされている。
耐久レース仕様とはいえ、フルスポット増しや肉抜きといった極端なボディ加工は行っておらず、装着パーツもほぼ全てがジェイズレーシングの市販品。見た目は派手だが、同社の「レースもストリートチューンの延長」というポリシーが体現されたチューンドなのである。
●取材協力:ジェイズレーシング 大阪府茨木市彩都もえぎ1-3-2 TEL:072-641-9000
記事が選択されていません【関連リンク】
ジェイズレーシング
https://www.jsracing.co.jp/