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現行JB64Wの本格サーキットスペック!
タイムアップは軽量化が鍵か!?
Attack筑波2023”に新設されたジムニーSLクラス。全10台の参加車のタイムを改めて検証してみると、ダートレースの強豪を中心としたワークスマシン勢が1分12秒台。対してユーザーマシンの実力というと、1分20秒切りが現状での“壁”になっているようだ。
今回はそこに追いつき、いつかは追い越すことを目標にしている2台のユーザーチューンドをピックアップしてご紹介したい。
まずは現行ジムニーオーナーの“はらちゃん”。チューニングを依頼しているレインボーオートでも、JB64Wで本格的なサーキット仕様としているユーザーカーは唯一の存在だという。
はらちゃんは、約4年前にマイティボーイからの乗り替えで新車のJB64Wを購入。しばらくはノーマルで乗っていたが、力不足を補うためにチューニングを開始。獲得したパワーをフルに使える場所を求めてサーキットに足を運ぶようになったそうだ。
パワー系はエイリアンテックのハイフロータービンとECUにより90psを獲得。インタークーラーはトラスト製で、排気系はHKSフロントパイプに5ZIGENマフラーを組み合わせている。
足回りはレインボーオートのビルシュタイン車高調の他、キングピンを偏心加工。ブレーキはリヤをアルフィンドラムに変更して放熱性を高めている。
ホイール&タイヤは16インチのレイズA-LAP(FR6.5J)にアドバンA052(FR205/50-16)のセット。転倒防止のために、25ミリの分厚いスペーサーを噛ませてワイドトレッド化を図っているのもお約束だ。
「視点が高くて乗りやすいので、ジムニーはサーキット初心者にもお勧めです。JB64は何しろ重いのがネックなので、現在は内装剥がし程度ですが今後はカーボンルーフ化などで軽量化を進めて1分15秒を目指したいです」と語ってくれた。
120馬力のタービン交換仕様で勝負!
完全FR駆動化で約30キロの軽量化を達成
一方、サーキット仕様ジムニーのメインストリームと言えるJB23型を愛機としているのが“なるしーさん”だ。
JA11やSJ10など計5台のジムニーを乗り継いできた生粋のマニアで、この車両は元々、奥様用として購入したAT仕様だったという。
F6Aエンジンはノーマルながら、今回の走行に合わせてRHB31FWタービンとLINKフルコンを導入。デザートイーグル大容量サージタンクや他車種用のトラスト製インタークーラー、HKSマフラーなど補機類フルチューン状態で120psを獲得している。
足回りはレインボーオートのビルシュタイン車高調でセットアップ。さらに、アライメントの自由度を高めるためにトライフォースカンパニーの調整式アームを投入し、ブッシュ類もフルピロ化済みだ。ブレーキはフロントにスバル流用の4ポットキャリパーを組み込んでいる。
ホイール&タイヤは、定番のレイズA-LAP(FR6.5J✕16)にアドバンA052(205/50-16)の組み合わせ。また、このジムニーは軽量化を目的に、4WD機構を撤去して完全FRの駆動方式としているのもトピック。
「バネ下で30kgくらい軽くなりましたね。FR化する場合、ホーシングは通常JB23-J2用を使うのですが、手に入らなかったのでJB33用にしたんです。その結果、トレッドが30mmくらい広がりました。今後はカムやピストンなどエンジン本体に手を入れて、1分20秒切りを目指します」とのこと。
ハイレベルなワークスマシンに注目は集まりがちだが、それを支えるユーザーカーの層の厚さこそジムニーカスタムが大きく盛り上がりを見せている理由に他ならない。互いに刺激し合いながら、さらなるタイムアップを目指していってもらいたいものだ。
REPORT:川崎英俊/PHOTO:金子信俊&川崎秀俊
●取材イベント:Attack筑波2023