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圧縮が落ち気味の走行10万kmエンジンを雨さんが解剖
メンテナンスの重要性がよく分かる結果に!
ロータリーエンジンが壊れるというが、具体的にはどういうことなのか。そこで、これまで何千基ものロータリーエンジンをバラし、組み上げてきたロータリーの神様ことRE雨宮の雨さん(雨宮勇美氏)にお願いして、ストリート仕様のFD3Sに搭載されていた走行10万km弱の13B-REWエンジンを見せてもらうことにした。
雨さん曰く「このエンジンは圧縮こそ落ちているけど、まだ走れるもの。そんなに悪い状態じゃないと思ってたんだけど、開けてみるとやっぱりアチコチが傷んでるね」とのこと。
実際に分解を進めていくと、ローター自体に大きな問題は無かったもののオイル管理が悪かったのか各部にカーボンやスラッジが堆積。エキセントリックシャフトを支えるステーショナリーギアのメタルも減っていて、オイル漏れを起こしてしまっていた。
そして、なによりサイドハウジングの燃焼室とウォータージャケットの隔壁が腐食していて水漏れ寸前。これはLLC交換を怠っていたエンジンなどに見られるトラブルだという。
こちらがローター。コーナー部分の溝が開いてしまっているようなものはNGだが、この個体は問題なし。カーボンによる汚れは綺麗に洗浄して再利用する。
純正部品の度重なる値上げによって、新品パーツで組む場合は200万円近くの予算が必要と言われているロータリーエンジンのオーバーホール。RE雨宮では使えるものは再利用し、メタルも打ち替えるなどして費用を抑えるメニューを用意している。
中古パーツと言えどもローターハウジングは初期馴染みを良くするための表面処理を行ったり、各部を精密に組み込んでいく。雨さんが1基ずつ丁寧に作業していくのだ。
シール類は全て新品に交換するのが鉄則。この他、エンジンを分解しなくては交換できない部分やパーツ代が安いものは積極的に新品を投入する。
「正直、このくらいの状態でオーバーホールするのがベスト。サイドハウジングは使えないけど、それ以外のパーツは再利用できるからね。約6万円のローターハウジングが2枚とも使えるのはラッキーだよ。これならシールやメタル類を交換してやるだけだから、比較的安く済む。サイドハウジングは新品でも良いし、もっと安く済ませるならウチで在庫している良質の中古を使うって手もある」と診断する雨さん。
近年はエンジンオーバーホールの予算に悩むユーザーが非常に多く、RE雨宮ではこういった中古エンジンをベースにしたリビルトが人気になっているそうだ。
場合によっては現在のエンジンをオーバーホールするよりも安く仕上げられる場合もあるので、興味のあるロータリー乗りは問い合わせてみてはいかがだろうか。
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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