「AE86でリッター17キロ!?」トヨタもびっくりの超低燃費を実現した“エコハチ”の勇姿

ポイントは電子スロットルと最新インジェクターの合わせ技

リッター20キロも狙える最新アップデート術!

日本屈指のAE86チューニングショップとして知られる“テックアート”。そんな同店が提案する究極のAE86ストリートスペック『ECOハチ』が今回のターゲットだ。

プロジェクト名の通り、このAE86は“スポーツ性能を維持したまま、エコ性能も徹底的に高める”というコンセプトで開発された新感覚のチューンド。実燃費は2名乗車で17km/L。一般的に程度の良いハチロクの燃費が12km/L程度であることを考えれば、その凄さが伝わるだろうか。今回はハチロクチューニングの最先端を走り抜けるこのマシンの詳細スペックを見ていく。

まず、エンジンは亀有ワークス製の鍛造ピストンキットやAE111クランク&コンロッドを用いて、純正排気量(1587cc)のまま強化。これらのエンジンパーツは全てWPC加工を施している他、バルブ周りのシーリングカットやバルブフェイス研磨など、摺動抵抗低減を目的としたチューニングを徹底的に行なっている。

テックアートオリジナルのビレットインマニに組み合わされているのは、ボッシュ製の74φ電子制御スロットル。さらに最新式インジェクターを使用することで、現行直噴エンジン並の霧化性能を獲得しつつ緻密な空燃比制御が可能に。これらの制御はモーテックのM800が担い、現状の出力はレギュラーガソリンで実測140psとノーマル(グロス値:130ps)を上回っている。

点火はダイレクトイグニッション化を実施。この他、ハイフローラジエターやエアコン連動の電動ファンも備える。エコ性能だけでなく、実用性も純正より大幅に高められているわけだ。

ホイールはワークCR01(8.0J+3)で、タイヤには195/50−15サイズのアドバンネオバAD09を履く。細いエコタイヤを履けばさらなる低燃費が狙えるが、走りの楽しさを残すのも大きなテーマであるこの車両に、そのアプローチはそぐわないと判断したのである。

ハブベアリングを始めとした各種ベアリング類も新品に交換。ドライブシャフトとファイナルギヤは、GRヘリテージの復刻品を惜しみなく投入してリフレッシュ済みだ。ギヤ類は、エンジンパーツ同様にWPC加工を施し、フリクションロスを低減させているという。TRDの機械式LSDも装備するが、抵抗を減らすべく緩めのセッティングとされている。

車重は燃費だけでなくハンドリングにも直結する。そのため、ECOハチではボンネットをレストアパーツ.comのアルミタイプに、リヤゲートはインパルスのインフュージョンカーボン製にそれぞれ交換することで軽量化を図っている。

前期タイプのフロントバンパーや左右クォーターパネル、バックパネルはレストアパーツ.com製、サイドステップはインパルス製を細部のチリにまで拘って装着。元々はオーバーフェンダーを装着した前期ベースの改造車だったというがその面影は一切無い。車両コンセプトに相応しいエクステリアを、現代のパーツで実現しているのだ。

剥がれや端部の反り上がりが起こりがちなダッシュボードは、革張りのオリジナルダッシュカバーでフォロー。リヤシートは純正風に張り替えられた。

ステアリングは当時物のTRD製ナルディホーンパッド付きを張り替え、シートはブリッド製ストラディアIIIのカーボンモデルでフィット感を高めている。センターコンソールにスマホ用の非接触充電ポイントを仕込むなど、現代的な装備も与えている。

「チューニング屋の僕らが、ただオリジナルに戻すだけのレストアをしていたら面白くないですよね(笑) それに、最近はこうしたアプローチを求めるお客さんも増えていますので」とはテックアートの鎌田さん。

なお、一時は補修部品が欠品だらけで故障修理すら苦労したAE86だが、近年では純正部品の復刻や高精度なリプロパーツの登場により、旧車の中では維持しやすい部類に入るという。現代的でフレンドリーなハチロクを楽しみたいなら、今がチャンスというわけだ。

●取材協力:テックアート 埼玉県八潮市浮塚54-1 TEL:048-994-2081

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【関連リンク】
テックアート
http://www.tecarts.com

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