30年間進化を止めない実験車両!
5.5A-G+ハヤブサスロットルで220馬力をマーク
サンデーレースやタイムアタックシーンで数々の実績を残してきたAE86専門ショップ、クリスタルボディ横浜(CBY)。その代表・小田さんが長年乗り続けているのが、このスプリンタートレノだ。
30年以上にわたり進化を重ねてきたこのマシンは、筑波サーキットで58秒6、富士スピードウェイでは1分53秒台というトップクラスのタイムを記録。それでいてナンバー付きの公認車両である点も特筆すべきポイントだ。CBYが培ってきたノウハウと最新パーツを惜しみなく投入した、まさに究極のN2仕様である。

この車両は単なるデモカーではなく、小田さんにとって“実験機”としての役割も担う。さまざまな仕様を試しながら、常に最適解を探り続けるためのベース車両として機能しているのだ。
心臓部には、7Aブロックをベースとした5.5A-Gエンジンを搭載。83φピストンと15.4mmロングコンロッドの組み合わせにより、排気量は1795ccへと拡大されている。ロングコンロッド化によって連桿比を高め、ピストン側圧を低減。フリクションロスの抑制と耐久性向上を両立する狙いだ。現在もクランクをはじめとした細部のテストが続けられており、その進化は今なお止まらない。

シリンダーヘッドはIN300度/EX296度のハイカムを組み込んだ圧縮比13.8のハイコンプレッション仕様。吸気にはCBY定番のハヤブサ用スロットルを採用し、隔壁を設けることでフレッシュエアの導入効率を高めている。これにより最高出力220psを発揮。冷却系にはDRL製Z34用ラジエーター&オイルクーラー一体型コアを流用し、水温・油温の安定化も図っている。


制御はレスポンスに優れるLINKフルコンが担当し、点火・燃料ともに高精度でマネージメント。レーシングスペックでありながらアイドリングも安定しており、扱いやすさとの両立も実現している。コクピットは純正ダッシュボードを残しつつ、AIM製ダッシュロガーを違和感なく組み込むことで、機能性とストリート性を高い次元で融合させた。

トランスミッションにはサデフ製シーケンシャルドグを採用し、パドルシフト化も実現。ただし興味深いことに、富士や筑波でのベストタイムは従来のアルテッツァ用J160ミッション装着時に記録されたものだという。新たな武器を得てもなお最適解を探り続ける姿勢が、このマシンの本質を物語る。


軽量化にも抜かりはない。外装パネルの多くをドライカーボン製へと置き換え、フロントアンダーパネルやスポイラー一体型リヤゲートによってダウンフォースも確保。さらにリベレー製の2枚羽根GTウイングが高速域での安定性に寄与する。ブレーキには軽量なF3用キャリパーを採用し、バネ下重量の低減にも注力している。

足元にはRSワタナベの鍛造ホイール「フォージングR」のマグネシウムモデルを装着。1本あたり1kg以上の軽量化を実現し、運動性能向上に大きく貢献している。これらの積み重ねにより、車重は約800kgにまで絞り込まれている。

30年以上にわたり進化を続けるCBYのトレノ。その姿は完成形というより、常にアップデートを繰り返す“現在進行形の最適解”だ。AE86というプラットフォームの可能性を極限まで引き出した一台と言える。
⚫︎取材協力:クリスタルボディ横浜 神奈川県横浜市旭区南本宿町121-10 TEL:045-352-3397
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クリスタルボディ横浜
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