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目標値の290km/hにはわずか届かず!
300km/h超えにはECUチューンの熟成が鍵か!?
2022年2月11日に、4回目のアタックでスカイライン400Rの300km/h超えを達成した“フェニックスパワー”。その時の経験とノウハウをフル投入しながら進められているのが、同型エンジンを搭載するRZ34型フェアレディZのチューニングだ。
パワースペックは、トラストのメタルキャタライザーとパワーエクストリームRマフラーで排気効率を引き上げた完全合法のライトチューン仕様となる。
スカイライン400Rでの経験を踏まえて、VR30DDTTのキーアイテムとして真っ先に開発したのが水冷式インタークーラー用の大容量ヒートエクスチェンジャー(熱交換器)だ。ノーマル比3.5倍もの容量アップに加え、冷却効率を高めるエアガイドもセット。これで吸気温度上昇速度の大幅な遅延を狙うのである。
そして、これらチューニングパーツの調律を図るのがECUチューンなのだが、これがかなりの難敵。スカイライン400Rに搭載されているものから格段に進化(Gen.1→Gen.2)しており、その結果、“アンカテゴライズ”と呼ばれる未知の制御領域が拡大しているのだ。
「厄介ですけど、想定の範囲内。VR30DDTTの制御はスカイライン400Rからスタートしているので、大まかなプログラムはすでに構築できています。現在はアンカテゴライズのマップ解析を進めていますが、完成までにそう時間は掛からないと思います」とは横山代表。
ちなみに、現状の最高出力は487.10psなのだが、これについては「一発狙いなら500ps超えも可能なんですが、ノックリタードしたりしなかったりで安定しなくて。もっと煮詰める必要がありますね。うちのワークスカーは9速ATモデルなのですが、その制御も絡むので6速MTモデルよりも大変なんですよね」とのこと。
一方の足回りは、アラゴスタ・タイプSベースのオリジナル車高調でセットアップ。ホイール&タイヤは、BBS LM(F9.5J R10.5J)とアドバンネオバAD09(F265/35R20 R285/30R20)のコンビネーションだ。
なお、今回の最高速アタックは“データ取り”の意味合いが強かったものの、スカイライン400Rの経験から横山代表は290km/hを目標値に設定。これは7速6000rpmオーバー、もしくは8速5000rpmオーバーが条件となるが、その領域まで空気の壁を突き破りながら加速を続けられるかは未知数だ。
ドライバーを務めるのは、最高速シーンのトップガンにしてOPTIONグループ総帥の稲田大二郎。当日は、大勢の関係者が見守る中でのアタックとなったのだが、結論から言うと目標には一歩届かなかった。
正式記録は287.18km/h。8速では加速しなかったため、7速で踏み切って叩き出したものとなる。横山代表は悔しがっていたが、結果としてはトラストの記録(2022年8月:285.23km/h)を破り、RZ34最速の座を獲得したことになる。
「高速周回路での印象としては、どっしり感のある400Rに対し、RZ34はフロントが車速の上昇に応じて軽くなる感じだ。ホイールベースの短さが大きく関係しているとは思うけど、300km/hオーバーを目指すにはこの辺りの対策が必要だ。サスの減衰やスプリングを見直しつつ、フロントにエアロを巻くのが手っ取り早いかもしれない」とは稲田大二郎。
スカイライン400RよりもショートホイールベースのRZ34を超高速域で安定させるには、さらなる足回りの煮詰めと、エアロパーツによるダウンフォース増強が必要というわけだ。「この借りは次回に…」と、横山代表は早くもリベンジに燃えている。
そう、フェニックスパワーRZ34の挑戦は、ここからまた始まるのだ。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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