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日本国外のクルマ好きからも厚い支持!
トヨタ最強の名エンジン2JZを活かす足回りも魅力
80年代後半から90年代初頭に掛けてのバブル景気に沸いた日本では、潤沢な開発費用を注ぎ込んだ国産スポーツモデルが数多く誕生した。中でもJZA80スープラは、世界の名だたるスポーツモデルと本気で渡り合うべく生み出された傑作。国産スポーツの黄金時代を代表する一台と言える。
今回紹介するのは、そんなスープラを愛してやまないマニアの所有する個体。70系スープラを3台乗り継ぎ、JZA80スープラへと乗り替えたオーナー富澤さんの愛機である。チューニング&メンテナンスを担当するのは、名門“マテリアルオートファクトリー”だ。
しばらくブーストアップ仕様で乗っていたが、今から2年ほど前に憧れ続けたビッグシングル仕様へとステップアップ。それと同時に補機類をリフレッシュし、最新スポーツモデルに負けない戦闘力を手に入れたという。
速さの要となるエンジンは、本体ノーマルのままHKSのGTIII-4Rタービンを装着。出力向上に伴い、インジェクターと燃料ポンプは大容量化しているものの、ヘッド周りやカムは純正のまま。F-CON Vプロ3.4で綿密にマネージメントすることで、最大ブースト圧1.5キロ時に620psを発生させている。
ちなみに、シングルターボ化の効能はパワーアップのみにあらず。エキゾーストサウンドにも大きく影響を及ぼすのだ。
「純正シーケンシャルツインターボは排気系統が複雑なこともあって、あまり良い音がしないんです。つまり、シングルターボ化することで排気の取り回しがシンプルになり、音が調律されてクリアで美しい直6サウンドが味わえるようになるんですよ」と、マテリアルオートファクトリー福島さん。
また、シーケンシャルツインターボ機構をキャンセルすることで、トラブルが起きにくくなるのもメリットと言える。
2JZ-GTE後期の弱点と言えるイグニッションコイル(2気筒でひとつのコイルしか付いていないためパンクしやすい)は、HKSのスーパーファイヤーレーシングコイルプロを導入して対策済みだ。
排気環境にはブリッツのニュルスペックをインストール。大型の砲弾テールがチューンド指数を高める。
デフィの追加メーター(上からブースト/油温/水温/排気温度/油圧/燃圧)が整然と並ぶ圧巻のコクピット。ステアリングはMOMOのコンペティション(ホーンボタンはatc)、クラッチにはHKSツインプレートを奢る。
シートは運転席がフルバケで助手席がセミバケ。いずれもレカロ製をチョイス。劣化が目立つ内装パーツ類は新品に交換するなど手を加え、古さを徹底的に払拭している。
エクステリアは完全なエアロMIX仕様だ。軸となるボディキットはドゥーラックで、そこに高瀬スタウトのカーボンボンネットやボルテックスのカーボンGTウイングなどを組み合わせて個性を演出。LEDタイプのテールランプはクエストの製品だ。
足回りはHKSハイパーマックスMAX IV-SPを軸にセットアップ。エンジンの大幅な出力アップに合わせて、ブレーキもエンドレスのビッグキャリパー(フロント6ポット&リヤ4ポット)で強化済みだ。
オーナーの愛情が注ぎ込まれ、20年以上前のベースとは思えないほどの輝きを放つJZA80。富澤さんとスープラの二人三脚はまだまだ続いていきそうだ。
●取材協力:マテリアルオートファクトリー 東京都町田市小山ヶ丘3-3-11 TEL:042-798-1435