「後期13B-Tと5速MTを換装した“広島ベンツ”」最終型ルーチェの理想系が爆誕!

こんな快速ロータリーセダンの復活を希望!

外装は基本ノーマルなのが大人だ

V6レシプロNAとロータリーターボの二本立てで展開していた最後のルーチェHC型。V6モデルにはしっかりと5速MTが用意されているにも関わらず、ロータリーモデルはなぜか4速ATだけという謎すぎるラインナップに加え、肝心の13B-Tも低圧縮比のFC3S前期型に準じたものが搭載されていた。

恐らく、マツダの思惑としては「5速MTで最新ロータリーに乗りたいならセブン買ってください」ということだったのだろうが、現実的には諸事情でどうしても4ドアセダンでなければならない人もいたわけで…。

そんな4ドア派ロータリー乗りの理想をカタチにしたのが、岐阜県の“グローバル”。オーナーからのリクエストで、ルーチェにFC3S後期型の高圧縮比13B-Tを載せたのだ。前期型との違いは、高圧縮比ローター(8.5→9.0:1)や、機械式から電気式に変更されたメタリングオイルポンプの採用など。結果、最高出力は185psから205psに、最大トルクも25.0kgmから28.0kgmに向上している。

「エンジン制御にはFC3S後期型のECUを使ってるんで、見た目はルーチェだけど中身はセブンと一緒やね」と、グローバルの永井代表。

後期型13B-Tと併せて換装されたのがFC3S用の5速MT。ペダル類は5速MTが設定されていたV6モデルから流用している。

当時、ロータリー搭載モデルは4速ATでしか乗れなかったため、泣く泣く購入を断念した人も多かったと想像するが、20年以上の時を経て「5速MTでロータリーのルーチェに乗りたい!」という夢が、トップチューナーの手によってついに実現したというわけだ。

ボンネットの裏には純正でエアガイドを装備。フロントグリル上部から効率良くフレッシュエアを導いて、トップマウント式インタークーラーの冷却性能を最大限に引き出すのだ。

一方の内装は、ステアリングをナルディクラシックのウッドリムに、シフトノブをオーナー自作のウッドタイプに交換。純正ウッドパネルとのコーディネイトが図られる。横長のメーターパネルには右からタコメーター、スピード、燃料計、電圧計、水温計が並ぶ。

また、エンジンのコンディションをリアルタイムかつ正確に把握するため、追加メーターも装着。ステアリングコラム上にブースト計、センターコンソールには水温/油温/油圧計がセットされるが、いずれも大森製というのが渋い。

…と、中身はかなり凄いことになっているが、エクステリアはあえてノーマルをキープ。ホイールも純正15インチのままとし、実に変態的…いや、何とも大人なチューニングカーである。

乗り味は最高だ。マフラー交換されているものの、音質は基本的にジェントル。ところが、右足に力を込めていくと3500rpmを超えた辺りからタービン過給音が大きくなり始め、ロータリーサウンドも明確になってくる。5速MTのカッチリしたシフトタッチが心地良い。足回りには純正形状のビルシュタイン製ダンパーが組まれ、しなやかにして芯があるハンドリングと乗り心地を提供してくれる。

戦闘的なピュアスポーツも良いが、一方でロータリーを載せた少しソフトな4ドアサルーンは絶対にアリだ。もし、マツダが販売してくれたら、それに食いつく親父連中が続出する…はず!?

■SPECIFICATIONS(※数値はベース車のもの)
車両型式:HC3S
全長×全幅×全高:4690×1695×1395mm
ホイールベース:2710mm
トレッド(F/R):1440/1450mm
車両重量:1450kg
エンジン型式:13B-T
エンジン形式:2ローター+ターボ
ボア×ストローク:―――
排気量:654cc×2 圧縮比:8.5:1
最高出力:180ps/6500rpm 最大トルク:25.0kgm/3500rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/マルチリンク
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR195/65R15

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎
●取材協力:グローバル 岐阜県羽島郡岐南町平成2-105 TEL058-374-8838

【関連リンク】
グローバル
http://www.global-pe.net/

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