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一般ユーザーがサーキットを走るなら空力パーツは必須か
テストを重ねて辿り着いたRZ34チューンの現在地
1991年の創業から多彩なチューニングマシンを製作してきた横浜の“アドバンス”。そんな老舗が、現在積極的に取り組んでいるのがRZ34のチューニングだ。
テストドライバーに菊池靖選手を迎え、富士スピードウェイで度重なる実走テストを実施。スペックアップも着実に進んでおり、「ノーマル状態では乗ったことがないけど、最初の仕様から比べたらかなり走れるようになったよ」と、菊池選手が太鼓判を押すほどだ。
テスト開始直後、真っ先に浮上した問題がデフオイルの温度だった。一瞬で200度を突破したというのだ。デフオイルクーラーを投入すればクリアできるが、それではあまりに短絡的すぎる。そこでアドバンスは、DG-5ベースのオリジナル車高調システム「FLATOUT SPL」を軸に足回りを煮詰めながら、接地性能アップを徹底追及。その結果、2回目のテストでは180度、3回目となる今回のテストでは約160度と、大幅な油温低下を実現したのである。
とはいえ、現状でも一般的には高温の部類に入るため、この辺りのヒート対策は今後の課題と言えるだろう。
純正のリヤサスはスプリングとダンパーが分離する構造だが、「FLATOUT SPL」は一般的なコイルオーバー型を採用している。これは、自由長の長いスプリングを使ってセットアップの自由度を広げるための策に他ならない。ちなみに、現在のスプリングレートはフロント24kg/mmのリヤ22kg/mmだ。
ブレーキも初回テストで浮き彫りになったウィークポイントのひとつ。富士2ラップで挙動が怪しくなったという純正フロントキャリパーは捨て去り、アルコン製6ポットキャリパー+プロジェクトミュー製390mmローター&レーシング333パッドに変更。
リヤは純正キャリパーにコントロール性重視のプロジェクトミュー111パッドをセット。Z34系はリヤブレーキのロック時にABSがフリーズしてしまうことがあるため、リヤの制動力をあえて落とすことでこの事象を未然に防いでいるのだ。
一方の機関系は、アドバンスオリジナルのフルストレートマフラー&Yパイプを組み込んだ上、ECU-TEKによる現車合わせセッティングを敢行。最高出力は478ps&67.5kgm(実測)まで高まっている。
なお、クーリング系は完全ノーマル状態だが、エンジン〜デフの専用オイルクーラーをHPIと共同開発してイントール予定とのこと。
純正タイヤサイズ(F255/40−19 R275/35−19)のままセッティングを煮詰めているのもポイント。タイヤはヨコハマのアドバンネオバAD09で、ホイールはエンケイGTC02(FR10J+20)を組み合わせる。
シートはブリッドのZIEG IVを2脚セット。車体の剛性を引き上げつつ、レーシングハーネスの固定器具という役目も担うHPIフロアバーも装着。レーシングハーネスは同じくHPI製の6点式となる。
取材当日は、アドバンスの新堀代表と菊池選手の両名が交代しながらテスト走行を実施し、1分58秒5というベストタイム(菊池選手)をマークした。
「今回でようやくスプリングのセットアップが合ってきて、かなり乗りやすくなってきました。とはいえ、馬力も上がってるし、まだまだリヤのスタビリティは足りない。直線番長な感じだね。もっとハイグリップなタイヤを合わせたい。あと、新型Zの性格を考えると、一般のドライバーがサーキットを走るならリヤウイングはあった方が良いね」とは菊池選手。
冬のアタックシーズンに向けて、引き続きRZ34の可能性を探っていくというアドバンス。同時にテストで必要性を感じたエアロデバイスを始め、オリジナルのチューニングパーツも展開予定とのこと。今後の進化が非常に楽しみな一台だ。
●取材協力:アドバンス 横浜市都筑区池辺町3947-1 TEL:045-932-0656
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