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キモはVカム化とクランク角センサーコンバージョン!
1000馬力仕様の常識を覆す扱いやすさを実現
このR32型スカイラインGT-Rは、かつてナンバー付きのドラッグスペシャルとして東北地方を中心に暴れ回っていたチューンド。名門“スクリーン”の千葉代表がマイカーとして約20年前に購入した個体がベースだ。
仙台ハイランドの閉鎖を機に現役から退き、以降は実家のガレージで冬眠させていたそうだ。
「いつか乗ろうと思って早10年以上。このままだと土に帰りそうだったので、大阪オートメッセ2023出展に合わせて現役復帰させました。同時に、以前からやりたいと思っていた最新パーツを投入して、最新式へのアップデートを図ったんです」と千葉代表。
細部を見ていく。注目すべきは、やはり垂涎モノの美しさを誇るパワーユニットだろう。HKS製2.8L仕様の腰下は以前と変わらないが、新たに可変バルタイ機構のVカム・ステップPROをヘッドに追加している。
クランク角センサーは純正を撤去。代わりに、HKSのコンバージョンキットを使ってクランク軸上に専用センサーを設け、より正確なピックアップ信号をECUへと伝達する。RB26DETTのウィークポイントとされる、純正センサー精度不良を克服するための一手だ。
タービンもT51R-Kaiから最新のGTIII-5Rに変更。これらのアップデートによって、最高出力は921psから1003psに向上。最大トルク発生回転も6385rpmから4855rpmと低回転側に移行し、より扱いやすい特性へと進化したのである。。
トランク内に設置されたコレクタータンクとフューエルラインは、芸術品のような造形。ポンプはタンク内に1機、コレクター内に2機が設置され、エンジンまで2系統で供給。空打ち防止でリターン燃料はコレクターに戻すレイアウトだ。
直列6気筒エンジンの弱点である1番と6番シリンダーの熱溜まり問題の対策として、冷却水潤滑のレイアウトを変更。ヘッド内の水路にも手が加えられている。オイルパンも拡大し、油濶と油温の安定化を図っている。
ハイパワー&ハイトルクの車両で発生しがちなパワステベルト飛びへの対策として、ポンプの装着位置を変更してベルトを短くしているのもドラッグレース時代のノウハウだ。
サスペンションとブレーキはD2ジャパン製でコンプリート。車高調は9タイプの選択肢の中から『ドラッグ』を装着しているが、ストリートラジアル装着車ならコストパフォーマンスに優れた『ストリート』がお勧めとのこと。
スポーツホローキャリパーは優れた効きとタッチに加え、軽量化によるバネ下重量軽減による運動性能向上にも注目したい。
ホイール&タイヤは、ボルクレーシングTE37(FR9.5J+22)にフージャーDOTラジアル(FR275/40−17)の組み合わせ。17インチホイールに合わせて、ブレーキローター径は330mmとしている。
仕上がりに関して千葉代表は「圧倒的な軽さとアナログ的な操作がもたらす人馬一体感はBNR32ならでは。1000psがこんなに扱いやすいんだと驚くはずです」と自信満々。
このBNR32をきっかけに、RB26チューンはしばらく続いたレストア中心の内容から、再びパワー志向へと流れを変えそうな予感だ。
●取材協力:スクリーン 宮城県富谷市成田9丁目1-17 TEL:022-348-3761
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