四角いデザインの現行型(JB64)と、丸い先代モデル(JB23)を比べると?




現行モデル(JB64)と先代モデル(JB23)でボディサイズにほとんど違いはないが、JB23はスクエアデザインであるものの角が丸められていることもあって、角ばったデザインのJB64の方がより大きくワイドに見える。
インテリアは、JB64がオフロードスポーツカーのようなインパネデザインにまとめられているのに対し、JB23は傾斜角度を把握しやすいようにウィンドウのベルトラインやインパネは水平基調となるなどオフロードカーとしての要素は備えているが、インテリアデザインそのものは乗用車的と言える。
また販売期間が長かったJB23は、年式によってインテリアデザインも大きく異なる。「レトロ」や「クラシカル」と呼べば聞こえはよいが、低年式のモデルほど古めかしさを感じるのは仕方がないところだ。
居住空間や荷室空間の寸法自体はそれほど変わっていないが、空間の広がりを感じさせるスクエアなキャビンを採用したJB64に比べるとJB23の車内どうしても狭く感じる。とくにJB64は後席格納時に空間を目一杯使ったフラットな荷室床面となっており、それに比べればJB23の荷室は使い勝手が悪いと言わざるを得ない。
さらに決定的な違いは安全装備だろう。JB23は運転席と助手席のみのデュアルエアバッグだが、JB64にはサイドエアバッグに加えカーテンエアバッグまで装備し、側面衝突に備えている。なによりJB64には自動ブレーキが備わる。対するJB23には横滑り防止装置も備わらない。
3代目スズキ ジムニー JB23W(参考値)
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1715mm
ホイールベース=2250mm
車両重量=980〜1000kg
タイヤサイズ=175/80R16(前後)
4代目スズキ ジムニー JB64W(参考値)
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1725mm
ホイールベース=2250mm
車両重量=1040〜1050kg
タイヤサイズ=175/80R16(前後)
エンジン特性がまったく異なるK6A(先代)と現行R06A(現行)


JB23のエンジンは、1994年から多くのスズキ車に採用されてきたK6A型。JB64に搭載されるのは1世代新しいR06A型エンジンだ。
エンジンスペックは似通っているが、K6Aは中高回転でパワーを出しやすいエンジン設計であるのに対し、R06Aはより低速トルク重視の設計となっておりストップ&ゴーが多い市街地走行でも乗りやすくなっている。
またJB64の5速MTはよりワイドなギア比に改められ、オンロードでの巡航性能が向上した。4速ATはギア比等に変更はないが、ロックアップ機構が追加さたことでJB23でよく指摘される巡航時のトルコンスリップが抑えられている。
こうした違いにより燃費性能にも差がついており、5速MTのモデル実燃費はJB23の12.9km/Lに対してJB64は14.8km/Lだ。ATモデルはどちらも11km/L程度だが、2021年9月の改良でJB64の4速ATにアイドリングストップ機能が追加され、実燃費は13.12 km/Lに引き上がっている。
またJB64には、スリップを検知して空転したホイールに自動的にブレーキをかけることで接地したタイヤに駆動力を伝える「ブレーキLSD」を搭載。さらに、下り坂でブレーキを自動制御し車速を一定に抑える「ヒルディセントコントロール」や、坂道発進時の後退を防ぐ「ヒルホールドコントロール」などJB23には備わらない悪路支援機能も特徴だ。
3代目スズキ ジムニー JB23W(参考値)
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=658cc
最高出力=64ps/6500rpm
最大トルク=103Nm/3500rpm
トランスミッション=5速MT/4速AT
駆動方式=パートタイム4WD
4代目スズキ ジムニー JB64W(参考値)
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=658cc
最高出力=64ps/6000rpm
最大トルク=96Nm/3500rpm
トランスミッション=5速MT/4速AT
駆動方式=パートタイム4WD
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JB64には以上の他にも細部にまで改良が加えられ、多くの面でJB23を上回っている。強いてJB64の欠点を挙げるとすれば、それは価格と納期だ。
2018年に登場したJB64の新車価格は、2025年7月現在165万4400円〜200万2000円となる。JB64は納車まで1年近い期間がかかるためか、大量の在庫車があるのにも関わらず値崩れはしておらず、中古車価格はある程度距離を走行した個体でも150万円からとなる。JB64の中古車は明らかに割高だ。
JB23は1998年10月のフルモデルチェンジから2018年7月の終売まで、改良時期に応じて1型〜10型まで分けられており、2002年1月に登場した4型までのモデルなら走行距離5万km以下の個体でも50万から購入できる。2004年10月に登場した5型以降は、走行距離5万km以下で80万円からが相場だ。
かといって、JB23の魅力は価格の安さだけではない。K6Aエンジンのターボラグは大きめではあるものの、R06Aのように電子制御スロットルではないためアクセル操作に対して自然な反応を返してくれる。また、徹底して無駄が排除されたR06A型よりも、K6Aの方がエンジン周りをチューニングしたときの耐久性は高い。価格の安さやカスタムパーツの多さも相まってカスタムの幅が広いのはJB23の方だ。
JB64の中古車はまだまだ高値が続くだろうが、購入できなくなることはない。対するJB23は程度の良い個体がどんどん減っていく。JB64のスタイリングや性能は確かに魅力的だが、状態が良い個体が買える今のうちにJB23を味わっておくのもよいかもしれない。
なお、JB23の中古車を購入する際は、なるべく高年式の個体を選びたい。販売期間が長かったJB23は高年式のJB23ほど性能や使い勝手も向上している。また、長く乗る場合はフレームのサビが最大の懸念点となるため、購入前にしっかりとサビの状態を確認することも大切だ。
