アフリカが主要マーケット「海外市場開拓事業部 (OMDO)」の活動とは?

ヤマハ発動機内に存在する、アフリカなどこれから発展していく国や地域に積極的に関わってきた、「海外市場開拓事業部」通称「OMDO(オムド)」の活動は既報の通り。

しかし、その遠く離れた地でどのような活動をしているのかは想像するしか無い。

ヤマハの海外開拓部隊「OMDO」とは? 世界140の国と地域が相手のダイナミックな仕事に迫る!

日本のモビリティメーカーは古くから海外市場を重視し、世界各地で日本製の乗り物が活躍している。その中でもヤマハ発動機は特に海外展開に積極的で、通常の営業部門とは別に、国際協力なども担う「海外市場開拓事業部」を設けている。部署の英語名である Overseas Market Development Operation Business Unit の頭文字を取り、通称「OMDO(オムド)」と呼ばれている。今回は、未開の市場に挑むユニークな部門「OMDO」にスポットを当てて、ちょっと変わったその活動に注目してみよう。 TEXT:小林 和久(KOBAYASHI Kazuhisa)/PHOTO:小林 和久(KOBAYASHI Kazuhisa)・ヤマハ発動機(Yamaha Motor Co., Ltd.)

8月20日~22日、神奈川県・パシフィコ横浜で開催された「TICAD9(第9回アフリカ開発会議)」の関連イベントとして併催された「TICAD Business Expo & Conference」にヤマハ発動機もブース出展を行い、その活躍の様子を展示していたので、会場の様子をお伝えしていこう。

「OMDO」の活動展示として、まず目に入ってきたのは、船外機を肩に担いだ現地の人の大きな写真パネルだ。決して笑顔ではないその男性の写真を、なぜ展示ブースのメインカットとして使っているのか。そこにはヤマハ発動機が織りなしてきたアフリカとの深いつながりが垣間見えるからだ。

ヤマハ発動機の展示ブースには、船外機を肩に担いだ現地の人写真が大きく使われている。その理由とは?

ヤマハ発動機は、1960年代からアフリカなど漁業を主な産業としながら、その漁には手漕ぎボートを使っている地域に対し、船外機を使ったボートによる効率的な漁法、その穫れた魚介類の鮮度を保ち運ぶ方法などを伝えてきた歴史がある。

もちろん、自社製品である船外機をたくさん売るためだと言ってしまえばにべもないが、その根底には国や地域を問わず多くの人の生活が豊かになってほしいという思いが流れている。

そうした長年のアフリカとの商売を超えた交流により、ヤマハ発動機の船外機はその地域の漁業従事者にとってなくてはならない相棒となった。それは、現在でも続いているが、信頼性の高い製品であるがゆえ、盗難の危機にもさらされているのだという。船外機が船というモビリティから取り外せるという特殊な事情によって生じる一長一短のひとつの短所ではある。

その船外機を担いている彼は、大切な相棒を盗まれては大変なことになる。そこで、漁業が終わったら、船外機を外して肩に担ぎ、持ち帰っているのである。

現地の漁業を支える、ヤマハ製のFRPボートも展示されている。

50kgもある船外機は決して軽くはない。漁を終えてそれだけでも疲れている。だけど、船外機が盗まれてしまっては自分や家族の生活がままならなくなるし、そもそも船外機は現地ではかなり高価な製品である。

そんな背景で大事にしている船外機を辛くとも持ち運んでいるという1枚の写真だったわけだ。笑顔で軽々と運んでいる「やらせ写真」では、そのバックボーンは見えてこないのだ。

そのようにアフリカで活動を続けるOMDOの別の展開に、水処理システム「ヤマハクリーンウォーターシステム (YCW)」の設置がある。水道が無い、あっても水が出ないような村は、アフリカには多く存在する。そういった村では衛生面の問題はもちろん、子供たちが水汲み作業に追われ、勉強や遊びに費やす時間が無くなってしまうという。

そうした地域にヤマハ発動機では古くからYCWを設置してきた。現在、アフリカには33基設置され、村人たちの心と身体を潤しているというわけだ。

新規事業から生まれた新しいバイクビジネス「MSB」の展開とは?

そしてまた、ヤマハ発動機は新たなビジネスでこれからのマーケットを豊かにしようとしている。

新規事業開発部門から生まれたヤマハ発動機の部署「MBS(Mobillity Buisiness Service)」は、バイク等をビジネスに有効活用しようにも、そもそも購入する資金があまりない人たちへバイクと仕事を一緒に手が届くものとして届けようというもの。

具体的には、ヤマハ発動機で生産されたバイクなどをMBSが購入し、まだまだこれからビジネスが広がる地域のスタートアップ企業などにリースで提供する。スタートアップ企業はリースで提供された車両を、自身で車両を持っていない、バイクタクシーや宅配ドライバー(ライダー)に貸与するビジネスモデルだ。ドライバーも少ない費用で車両を使用することができるので、新たな雇用を生み出すことに貢献している。MBSはリース車両のメンテナンスを行い、信頼おける乗り物で安全性を担保しつつビジネスをサポートするというもの。

簡単に言ってしまえば、これから発展する国でバイクのリース業をやるようなイメージだが、それを使ったビジネスモデルなども一緒に考え展開していく。

まさにモビリティを売るだけ、提供するだけでなく、どうやって使ってもらうかも視野に入れたビジネス展開が新しい。

ブースには、日本でなかなか見ることができない、アフリカ向けオートバイ「CRUX  Rev」のタクシー仕様も展示されていた。

8月31日(日)まで「YAMAHA e-Ride Base」で体験型イベントを開催中!

そして、TICAD9会場から徒歩10分ほどに位置する「YAMAHA e-Ride Base」でも、アフリカに関する特別展示を8月31日(日)まで開催中だ。

アフリカの大地で今でも活躍している1970年代登場の「YAMAHA AG100/200」や、1970年代に漁業などのために開発され、いまだに信頼性高く使用されている船外機「Enduro」などの展示や、アフリカの民族衣装試着や、夏休みということもあり、子供向けのワークショップなどを開催中だ。

楽器という、ある意味「生活を豊かにするだけのための道具」を起源とするヤマハグループは、道具を売るだけでなく、それを使うことで生活を豊かにすることをすべての製品に関して提供しているのだと、改めてこれらの展示を見て感じることができた。ぜひ、横浜みなとみらい地区で、その活動を目にしてほしい。

「YAMAHA e-Ride Base」のイベント情報はコチラをチェック!

イベント情報 – Yamaha E-Ride Base(横浜みなとみらい)| ヤマハ発動機株式会社 企業情報

どなたでも気軽に楽しめるイベントを多数ご用意。ご来場の思い出作りに、ぜひご参加ください。

https://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/yeb/events/