キャンプにSUVは必須というわけではない

多くのキャンプ場はSUVでなくても困ることはない。ただし雨で濡れた芝生や土の上は思いの外タイヤが滑るため、わずかな傾斜でも登れなくなってしまうことがある。

道中や場内がしっかりと整備されたキャンプ場なら、高い悪路走破性能を必要としない場合が多い。そのため、キャンプをするだけであればSUVである必要はなく、ミニバンや軽自動車やスポーツカーでも十分に楽しめる。

ただし悪天候時などは、よく整備されたキャンプ場でもぬかるんだ未舗装路や凹凸路の走行を迫られることがあるため、最低地上高が高いSUVがキャンプに有用であることは間違いない。

また、砂利道や未舗装の林道などの通行を迫られる自然に近い立地の穴場キャンプ場へ行く場合は、高性能4WDを搭載したSUVが必須だ。

しかし、SUVのなかでも本格的な悪路走破性能を備えた車種は一部に限られており、クロスオーバーSUVと呼ばれるクルマのなかには、一般的なクルマと走破性能にほとんど差はない車種も多い。一般的なキャンプ場を利用する場合に限っては、車種にこだわる必要はないだろう。

ミニバンがキャンプに適する理由

ミニバンの大きな車体を利用すれば、キャンプでできることが広がる。

ミニバンは、とくにオートキャンプで多くのメリットをもたらしてくれる。

第一に、大開口のスライドドアやリアゲートは、狭いキャンプサイトでも人の乗り降り荷物の積み下ろしがしやすい。

また、上下開放の大きなリアゲートは簡易屋根として使いやすく通り雨をしのいだり、日差しを避けたりするのに便利だ。なによりその大きな車体が風避けや日陰としての役割を担ってくれる。

高い全高の車体をタープの支柱として活用することもでき、吸盤などでタープを固定すれば高く張ることも、低く張ることも可能だ。

広い車内では着替えも楽に行えるうえ、多くのミニバンの後席にはロールサンシェードが標準で備わるため、簡易的なカーテンとしても利用できる。急な天候悪化時には、車中泊に切り替え、車内で快適に過ごせることもミニバンの大きな利点だ。

ミニバンの高い積載性でキャンプを快適に

積載量に余裕があれば、持っていくキャンプアイテムの幅も広げられる。大人数のキャンプほど便利な道具のありがたみが増すだろう。

ミニバンがキャンプに向いている最大の理由は優れた積載性にある。

SUVも高い積載性を備えている車種は多いが、同等のボディサイズであれば積載量はミニバンの方が優れる。広い荷室を活かして、SUVでは積みきれないような大型キャンプアイテムを持ち運べる点がミニバンの強みだ。

あらかじめ水を入れた大型のウォータータンクを積載して行けば、水を汲みに行く手間が省けるうえ、衛生面でも安心だ。キャンプにあると役立つ大型ポータブル電源も、かさばる荷物ではあるがミニバンなら難なく積める。

さらにミニバンなら、これらの荷物をキャンプサイトまで運ぶための台車も、自前のものを積んで行ける。台車はキャンプ場でレンタルできる場合が多いものの、繁忙期やチェックインが集中する時間帯は空くまで待たせられる場合も多い。

自前の台車を用意することで、こうした待ち時間を回避できるうえ、返却の手間も省ける。荷物の量や大きさに合わせて適切なサイズの台車を携行しておけば、より快適なキャンプが送れるだろう。

あとは悪天候に備えて、スタック防止アイテムを積み込んでおけば万全だ。ミニバンの高い積載性は、キャンプにおける多くの問題を解消してくれる。