まちなかでよく見る?商用軽自動車の存在感

近年、都市部を中心に配送需要が増大しており、箱型の軽自動車が走り回っているのをよく見かけるだろう。軽自動車の商用モデルは維持費が安く、狭い路地でも取り回しに優れるため、小規模事業や副業の足として根強い人気を持つ存在である。法人だけでなく個人にも広がっていることから、商用軽自動車は働き方の多様化を象徴するモデルだ。
ここからは代表的な軽商用車3車種を取り上げる。

まずは、スズキ「エブリイ」である。エブリィは軽バンの定番である。全長3395mm×全幅1475mm×全高1895mmで、ホイールベースは2430mm。軽自動車規格ながら荷室長は1910mmを確保し、広さとアレンジ性の高さが特徴だ。
宅配業務や工務店の資材運搬、個人事業主の営業車両としても幅広く支持されている。シートアレンジや荷室空間の工夫により、多様な使い方ができる点が評価されているというわけだ。2024年2月にはCVT搭載モデルが追加され、より扱いやすく進化している。
2車種目はダイハツ「ハイゼット カーゴ」だ。ハイゼット カーゴは積載性と燃費性能のバランスに優れたモデルである。
全長3395mm×全幅1475mm×全高1875mmで、ホイールベースは2450mm。荷室長は1860mmを確保し、効率的な空間設計によって積載量と走行性を両立している。法人ユースでも多く採用されており、営業車や配送用として安定した人気を誇る。
安全装備の充実も進んでおり、長時間運転をおこなう業務用途においても安心感を高めている。燃費性能と実用性のバランスが良く、維持費を抑えながらも十分な積載力を発揮するモデルだ。
最後はホンダ「N-VAN」である。N-VANは軽商用モデルのなかでも独自のレイアウトを持つ。
全長3395mm×全幅1475mm×全高1945mmで、ホイールベースは2520mm。助手席を倒すことでフラットフロアを形成でき、長尺物の積載に対応する。
この特徴により、配送業務に加えてキャンプや趣味用途でも活用できる点が強みである。
車中泊やアウトドアシーンでの利用も注目されており、従来の商用バンの枠を超えた使われ方がされているというわけだ。2024年4月には安全装備を強化した一部改良モデルが登場し、利便性がさらに高められている。
商用軽自動車の多様な選択肢

エブリイは定番として信頼され、ハイゼットカーゴは燃費性能と積載力のバランスを重視するユーザーに選ばれ、N-VANは独自の使い勝手でライフスタイルまで広げる存在となっている。こうした多様性は、個人事業主や副業ドライバー、法人の小口配送など、ユーザーの立場ごとに異なるニーズに対応できる点にある。
特に都市部では小回り性能や駐車場への収まりやすさが重視され、地方では荷室の広さや長距離での燃費が評価される。車両価格や維持費の差も大きく、限られた予算で導入したい人から、快適性や積載効率を優先したい人まで幅広く選べるのが強みだ。
* * *
働き方や事業規模に応じて最適なモデルを選べることが、商用軽バン市場の魅力である。今後も需要は拡大が見込まれ、これらのモデルは物流やサービス業の現場だけでなく、暮らしの身近な足として重要な役割を担い続けることになるであろう。



