渋滞・立ち往生の原因を理解しておく

まず、なぜ大雪によって渋滞や立ち往生が起こるのかを理解しておくことが、落ち着いた行動へとつながる。

大雪のとき、視界が吹雪で遮られる「ホワイトアウト」状態では、前方の状況を確認できず、車列全体の速度が低下しやすい。また、雪や氷に覆われた路面ではタイヤの駆動力が十分に得られず、スタック(空転して動けない状態)やスリップが発生しやすくなる。

一台が停止すると、後続車も次々と止まらざるを得ず、除雪や通行再開の作業が遅れることで、渋滞が長時間化してしまう。さらに、除雪車や救援車両が通れなくなると、道路全体の復旧に要する時間が大幅に延びるという指摘もある。

こうした原因を理解しておけば、「この渋滞は単なる交通の混雑ではなく、雪特有の要因が重なった事態だ」と冷静に認識できる。焦って車を動かそうとするのではなく、状況を見極め、落ち着いて対応することが重要だ。

渋滞中・立ち往生時の行動手順

雪による渋滞や立ち往生に巻き込まれたときは、まず「状況を正しく知ること」が大切だ。

慌てて車を動かそうとせず、カーナビやスマートフォン、ラジオで最新の交通情報や天気の状況を確認することが先決だ。大規模な渋滞や通行止め、雪崩の可能性が報じられていないかを把握する。

もし立ち往生しそうな場合は、「今、自分の車が動けるのか」「無理に進んでも危険ではないか」を冷静に判断することが重要である。動けないと判断したら、無理をせず、安全な場所で待機することも選択肢のひとつだ。待機する際は、道路の端など緊急車両の通行を妨げない位置に移動しておくのが望ましい。

車内で過ごす場合は、安全のための準備が欠かせない。まずハザードランプを点灯し、後続車や除雪車から自分の車が見えるようにしておく。次に、マフラーや排気管のまわりに雪が積もっていないかを確認する。排気口が雪でふさがれると、排気ガスが車内に入り込み、一酸化炭素中毒を起こす危険があるためだ。

換気をする際は、窓を少し開け、内気循環ではなく外気導入モードを選ぶとよい。燃料やバッテリーの残量、暖房の使用状況にも注意し、必要に応じてエンジンを止めて燃料を節約することも大切だ。

また、寒さに備えて防寒具や飲み物、軽食を用意しておくと安心だ。長時間同じ姿勢で座っていると血流が悪くなるため、足首や手首を軽く動かすなど、体をほぐすことも忘れないようにしたい。

吹雪やホワイトアウトのように、視界がほとんどなく危険な状況では、車の外に出るのは避けるべきだ。外に出ることで迷ったり、凍傷や事故に遭うおそれがある。そんなときは、車内で待機し、救助が来るまで安全を確保するのが最も適切な対応である。

出発前・備えておくべき準備

出発前・備えておくべき準備

大雪や渋滞、立ち往生のリスクを少しでも減らすためには、出発前の準備が重要だ。雪道では、ひとつの油断が長時間の停滞につながることもあるため、万全の備えをしておくことが大切だ。

まず、ガソリンは常に満タンに近い状態を保っておく。大雪での渋滞は想像以上に長引くことが多く、暖房を使い続けているうちに燃料が尽きてしまうと、寒さのなかで動けなくなる危険がある。

また、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)やタイヤチェーンの装備を必ず確認しておく。雪道や凍結した路面では、これらの装備の有無が「走れるか」「止まれるか」を大きく左右する。

さらに、車内には最低限の防寒・救援用品を備えておきたい。スコップや牽引ロープ、長靴のほか、毛布やカイロ、防寒着、飲み物や非常食、スマートフォンの充電器などがあれば、もしものときに身を守る助けになる。

出発前には、天気予報や道路情報を必ず確認することも忘れてはいけない。雪の予報や通行止め、渋滞の情報を把握しておけば、危険なルートを避けることができる。状況が悪化しているときは「行かない」という判断も立派な安全対策である。

たとえ短い距離の運転であっても、冬の道路は一瞬で危険な環境に変わる。だからこそ、「備えすぎるくらいがちょうどいい」という意識を持っておきたい。