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今日は何の日?■プロボックス/サクシードにハイブリッドと運転支援技術を搭載

2018年(平成30)年12月3日、トヨタは2002年の誕生以来人気を集めている商用ライトバン「プロボックス」と兄弟車「サクシード」にハイブリッド車を追加した。ハイブリッド化による燃費向上と優れた走行性能に加えて、運転支援技術“トヨタセーフティセンス”+“プリクラッシュセーフティ”も標準装備された。

日産ADに対抗してトヨタからプロボックス/サクシード登場

ライトバン「プロボックス/サクシード」は、2002年7月に発売された。プロボックスは、コンパクトサイズの「カローラバン」および「スプリンターバン」の後継車、サクシードはミディアムサイズの「カルディナバン」の後継車だ。

両車は荷室長および全長がわずかに異なり、ライトバンの荷室長(2名乗り)/積載量は、プロボックスが1310mm/400kg、サクシードが1830mm/450kgとサクシードがひと回り大きい。スタイリングは使いやすく、かつ有効スペースをできるだけ確保することが優先され比較的高い車高とし、サイドおよびバックウインドウは垂直近く立てられた。

搭載エンジンは、プロボックスが1.3Lと1.5Lの直4 DOHC、1.4L 直4 SOHCディーゼルターボの3種エンジン。サクシードは1.5L 直4 DOHCと1.4L 直4 SOHCディーゼルターボの2種エンジンを搭載。トランスミッションは4速ATおよび5速MTが組み合わされ、駆動方式はFFとVフレックスフルタイム4WDが用意された。

当時のバン市場は日産のADバンの人気が高かったが、プロボックス/サクシードの参入でバン市場は両モデルが激戦することになった。
ハイブリッド車が追加されたプロボックス/サクシード

2018年12月のこの日、「プロボックス/サクシード」にハイブリッド車が追加された。

働くクルマにふさわしい優れた燃費とスムーズな走行性能を実現するために適用されたハイブリッドシステムは、最高出力74ps/最大トルク11.3kgmの1.5L 直4 DOHCエンジンに最高出力61ps/17.2kgmのモーターを搭載したTHS IIが組み合わされた。達成された燃費は、WLTCモードで良好な22.6km/L、同時に低排ガスレベルと合わせてエコカー減税の対象となった。

さらに、ハイブリッドならではのモーター駆動によるスムーズな発進と加速、高い静粛性も実現。また、全車に運転支援技術パッケージ“トヨタセーフティセンス“と、昼間の歩行者も検知対象に加えた”プリクラッシュセーフティ“を標準装備された。

その他にも、盗難防止用のイモビライザーやUSBポートの標準装備、マルチホルダーのサイズを拡大することでスマートフォンやメモ帳などが楽に置けるようにするなど、働く人が使いやすいクルマづくりが追求された。なお新型プロボックス/サクシードには、ハイブリッド車だけでなく1.3Lと1.5L 直4 DOHCを搭載したガソリンエンジン車も用意された。
ブロボックスとサクシードの車両価格は、両車同額の181.98万~196.56万円に設定された。

ライバルの日産ADは2025年に生産終了


日産の人気ライトバン「ADバン」は、多くの人気モデルに設定されていた「パルサーAD」、「サニーADバン」、「バイオレットADバン」、「オースターADバン」を統合する形で1990年に誕生した。
誕生以来ADバンは、広い荷室スペースや耐久信頼性、手頃な価格などで、プロボックス/サクシードなど他の商用バンを圧倒して高いシェアを誇っていた。しかし、プロボックス/サクシードが改良を重ね、一方の日産は業績不振で商品力強化が十分できなかったこと、さらにプロボックス/サクシードがハイブリッド車を投入して、燃費と安全技術でADバンを大きく上回ったことで、両車のシェアは完全に逆転した。
結局、ADバンは、販売低迷と日産の業績悪化による車種整理によって、2015年11月に生産を終えることになったのだ。
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商用バンを使う個人事業主や中小企業にとって、荷物をたくさん積めることや耐久信頼性が高いことも大切だが、走行距離が長い商用車にとっては、ガソリン価格が高騰している現在は、車両価格よりも燃費が極めて重要なのだ。また、CO₂削減の観点からも商用車こそ電動化の推進が必要ではないか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。




