静電気ショックはナゼ起こる?

静電気ショックの放電電圧は3000〜3万ボルトにも達し、ガソリン蒸気の着火源となりうる。セルフ式のガソリンスタンドでは、静電気除去シートに触れてから給油口の蓋を開けるようにしよう。

静電気ショックは「摩擦」「帯電」「放電」の3つの現象が連鎖することで起こる。

静電気発生の根本は摩擦による帯電であり、これは2種類の物質が擦り合わされることで電子が移動し一方がプラス、もう一方がマイナスの電気を帯びた状態を指す。

身体がプラスかマイナスどちらかの電荷を帯びた状態でクルマに触れると、蓄積した電荷が一気に流れ出し、クルマとの間で放電が起こる。

そして、プラス側とマイナス側の電位差が大きいほど放電電圧も大きくなるため痛みも増す。これが「バチン」とくる静電気ショックの正体だ。

気温が大きく下がる冬は空気が乾燥しやすく、空気中の水分を介した自然放電が抑制されるため静電気ショックが起こりやすい。

静電気ショックを予防するには、「帯電を防ぐ方法」と「放電を抑制する方法」に着目しよう。

ポイントは車内の湿度と手の潤い!帯電を防ぐ手軽な方法

化学繊維が一般化している現在は、衣類で帯電を防止するのは難しい。手や車内の湿度を上げて対処するほうが現実的だ。

ナイロンとポリエステルなど、化学繊維衣類を重ね着すると帯電しやすいため、綿や麻などの天然素材の衣類を着用することで帯電を抑えられる。天然素材のシートカバーも帯電防止に有効だ。

しかし、天然素材の製品は高価なうえ入手性も悪いため、静電気の帯電防止方法として手軽とは言えない。静電気の発生を大きく助長するのは乾燥であるため、帯電防止には車内の湿度を上げてやろう。

除湿機などの機器を用意せずとも、濡れたタオルを車内に置いたり、霧吹きで少量の水を車内に散布することでも車内の湿度は上げられる。湿度を上げる方法は、降車時の静電気ショックの軽減に効果的だ。

皮膚の乾燥も静電気の原因であるため、こまめにハンドクリームなどで保湿したり、乗り降りの直前に霧吹きで手を湿らせるだけでも静電気ショックは防げる。

嫌な静電気ショックを回避する「クルマの乗り降り術」

指先を使わなければ開けられないドアノブの場合は、一度手のひらや甲でクルマのボディに触れ、電荷を逃してからからノブを操作しよう。

事前準備を一切することなく静電気ショックを回避するには、乗り降りの方法を改めることがもっとも簡単だ。

降車時、ドアを閉めようとしたときに起こる静電気ショックは、身体が帯電した状態でクルマから離れないように注意することで防げる。

シートに座っている間もクルマとの電位差はあるが、放電が起こるほどではない。しかし、離れた瞬間にクルマと絶縁されることで電位差が大きくなるため、その状態でドアに触れるとバチンとショックを受ける。

降車時のポイントは「クルマに触れながら降りる」ことだ。クルマから降りる際は、シートに座ったままクルマの窓枠やドアの金属部分など、導電部位に触れながら地面に足をつけると静電気ショックを防げる。これはクルマがアースとなって電位差を解消するためだ。

問題は、あらかじめ電位差が高い状態にある乗車時と言えるだろう。アースとなる地面などに触れて、電荷を逃してからドアノブを操作する方法も有効だが、もっとも手軽な対策は「手のひら全体でクルマに触れる」ことだ。

電気は鋭利な部分から集中的に放電する特性がある。手のひらで触れても放電は起こるが、接触面積を広げることで放電が分散し、痛みは感じにくくなる。

つまり、おっかなびっくり指先でクルマに触れるのは、静電気ショックに対しては逆効果ということだ。

以上の方法は、費用をほとんどかけずにできる静電気対策となる。これでもバチンと来るようなら、帯電防止スプレーや除電キーホルダーなどの静電気除去グッズを試してみよう。