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自衛隊新戦力図鑑

F-35“B”型は、どうして生まれたのか?

もともとF-35は、アメリカ空軍・海兵隊・海軍が使用する異なる戦闘機の後継を「一本化してしまおう!」という目的のもと開発された戦闘機だ。基本型の空軍型がA型であり、海兵隊型がB型、海軍型がC型となる。

B型・C型ともに「艦艇から発進する」能力を持っているが、それぞれ母艦が異なる。C型が空母で運用されるのに対して、B型は強襲揚陸艦が母艦となる。現代の戦闘機の離陸には、おおよそ1000~2000mの滑走距離が必要だが、そんなに巨大な船は作れない。空母ではカタパルト(射出装置)で戦闘機を加速させて、短い甲板上から戦闘機を離陸させている。

空母から離陸(発艦)するアメリカ海軍のC型。首脚の前方から伸びた棒状の器具(ローンチ・バー)が甲板のカタパルトと連結しており、機体を離陸速度まで一気に加速させる(写真=アメリカ海軍)

一方で強襲揚陸艦は、見た目に空母に似ているがカタパルトはない。「搭載すればいいじゃないか」と思うかもしれないが、強襲揚陸艦は「歩兵部隊を海から陸に送り込む」ための船であり、基本的に輸送ヘリ(およびティルトローター輸送機)の運用を重視している。カタパルトを搭載する余裕はない。そこで短い甲板から自力で離陸できる「短距離離陸・垂直着陸(Short Take Off・Vertical Landing:STOVL)」能力のある専用戦闘機が必要とされるのだ。

アメリカ海軍の強襲揚陸艦「エセックス」。甲板上にティルトローター輸送機MV-22が並んでいる。歩兵部隊を陸に送り込むため、輸送機や上陸艇を運用する母艦。空母のように見えるが、まったく役割が異なり、カタパルトも搭載していない(写真=アメリカ海軍)

なぜ日本はB型を導入するのか?

さて、日本に話を戻そう。2018年、航空自衛隊へのB型導入が明らかとなる。南西諸島における島嶼防衛作戦において、地上基地が敵の攻撃を受けた場合を想定し、艦上運用を組み合わせることで、作戦行動に柔軟性を持たせようというのだ。

母艦に選ばれたのは「いずも」型護衛艦だ。「いずも」型は、広い飛行甲板を備えた対潜水艦ヘリコプター母艦であり、海上自衛隊で最大の満載排水量26000トン・全長248mを誇る。しかし、アメリカ軍が運用するような空母(10万トン・330m)には遠く及ばず、もちろんカタパルトを搭載する余裕はない。そのために、STOVL能力のあるB型が必要だったわけだ。

「いずも」型護衛艦は対潜水艦ヘリコプターを運用するヘリ母艦として建造された。カタパルトを持たない艦で運用するため、日本はB型の導入を決定した(写真=海上自衛隊)

F-35B部隊、第202飛行隊を来年度に新編

B型はSTOVL能力のため、特殊な構造を備えている。機体の中央に1.2mの大きなリフトファンを備え、下向きの空気流により機首を持ち上げる。さらに方向を変えることができる推力偏向式エンジン排気口を斜め下に向けることで、短距離での離陸を可能としている。

B型のSTOVL機構。イラストは垂直着陸時の状態。機体中央のリフトファンと、真下に向けた推力偏向式エンジン排気口により下向きの推力を生み出している。また、左右のロールポストで機体を安定させる(イラスト=ヒライユキオ)

大きなリフトファンのためB型は機体中央が膨らんでおり、もともと丸みのあるF-35系統のなかでも、特にB型はずんぐりとしたシルエットとなっている。また、機内容積が圧迫され、ウェポンベイ(機内弾薬庫)の搭載量がやや少なく、一部のミサイルは機内搭載できないというデメリットも生じている。

先週2月7日、新田原基地においてF-35B配備式典が行なわれた(写真=航空自衛隊航空総隊Xより)

ともあれ、STOVL能力が持つ柔軟性は島嶼防衛の大きな助けとなるだろう。たとえば、本家のアメリカ海兵隊ではこの能力を活かして、簡易飛行場など通常は戦闘機が使用できない地上拠点の活用も考えている。来年度、新田原基地のF-35Bは「第202飛行隊」として正式に編成される予定だ。

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