悪天候や複雑な道路状況ではシステムの認識が遅れるおそれも

長距離運転時は、ACCの使用で運転を楽にする。アダプティブクルーズコントロール(ACC) イメージ

2026年4月現在、自動車メーカー各社は長距離走行の疲労を軽減する目的で、(以下、ACC)を数多くの車両に標準装備している。

ACCとは、高速道路などで運転者が設定した速度を保ちながら自動で走行する先進的なシステムである。

トヨタ「ヤリス」のような運転しやすいコンパクトカーから、ホンダ「ステップワゴン」といった家族向けのミニバンまで幅広い車種に搭載されているのが特徴だ。

また、近年では渋滞時の停止や発進まで支援してくれる機能や、ペダルの踏み間違いによる事故を防ぐ効果も期待できるため、初心者からベテランまで幅広い世代の運転者から支持を集めている。

そのため、快適性と安全性を高める欠かせない装備のひとつとして、ドライバーにとってなくてはならない機能と言えるだろう。

このように、非常に便利なACCであるが、いかなる状況でも完璧に機能するわけではないという点には注意が必要だ。

ACCのシステムはフロントガラスに設置されたカメラやバンパー内部のレーダーなどのセンサーに依存している。

そもそも、ACCのシステムはフロントガラスに設置されたカメラやバンパー内部のレーダーなどのセンサーに依存しているため、認識能力には物理的な限界が存在する。

つまり、視界を遮るような激しい豪雨や濃霧といった悪天候の場合、センサーが前方のクルマを正しく捉えられない場合があるというわけだ。

強い西日
西日などの特定の条件ではACCが正常に働かない恐れがある。

また、道路に描かれた白線がかすれて消えかかっている場所や、西日が強く差し込んでいる状況では、車線を維持する機能が正常に働かないおそれもある。

もしセンサーが前方の物体を車両として正しく認識できなければ、クルマは減速せずにそのままの速度で進んでしまう。

その結果、自動ブレーキの作動が間に合わず、先行車への追突などの取り返しのつかない重大な事故につながるリスクが高まる。

クルマのAI
ACCを使用している最中でもシステムに過信しすぎるのは良くない。

そのほかにも、見通しの悪い急カーブや、別の車両が急に割り込んでくる合流地点では、システムによる不自然な急減速や急加速が起きるおそれがあるとされる。

周囲の交通状況を瞬時に把握し、人間の目と経験にもとづく判断力が必要な複雑な状況下において、システムの機能を過信することは危険だ。

したがって、ACCを使用している最中であっても、いつでも自分でブレーキを踏んだりハンドルを操作したりできるように備えておくことが不可欠といえるだろう。

なお、ACCはあくまで運転者の操作を補助するための便利な装置であり、すべてをシステムに完全に任せきりにできる自動運転とは異なるものであることは理解しておきたい。

安全を確保するためには、機械の限界を知り、つねに周囲の状況に注意を払いながら賢く使いこなす姿勢が求められる。