直噴技術と細やかな制御が燃料の消費を抑えている!

自動車メーカー各社は2010年代以降、環境への配慮を目的として、直噴技術とコンピューター制御を組み合わせた新しいターボエンジンを次々と市場に投入してきた。
ターボ車と聞くと、スポーツカーのように燃料を多く消費して力強く走る姿を想像する人もいるかもしれない。
しかし、現在普及しているターボ車は、かつてのしくみとは少し異なる。かつてのターボエンジンは、エンジン内部の温度が上がりすぎるのを防ぐために、燃焼に必要な量よりも少し多めに燃料を噴射することがあった。
燃料が液体から気体に変わる際に周囲の熱を奪う性質を利用して、エンジンを冷却しており、このしくみが、ターボ車は燃費があまりよくないというイメージにつながるひとつの理由とされている。

これに対して、現代のエンジンはシリンダーと呼ばれる燃焼室の内部に直接燃料を噴射する直噴技術を採用している。
これにより、燃料の粒子が非常に細かくなり、効率よく燃焼させることが可能になったことにくわえて、コンピューターによる細やかな制御技術が進歩したことで、燃費がよくなったのである。
また、現代のターボ車の多くは、エンジンの状態に合わせて必要な時に必要な分だけ燃料を噴射できるため、冷却目的で燃料を余分に使うことが少なくなった。
こうした工夫を重ねた結果、ターボ車であっても良好な燃費性能を発揮できるようになったのだ。
排気量を下げて摩擦を減らすダウンサイジングも広まっている

なお、現在のターボ車において主流となっているのは、エンジンの排気量を小さくするダウンサイジングという考え方である。
ダウンサイジングという設計思想は、現在では日本国内の自動車メーカーにも広く普及している。エンジンの排気量を小さくすると内部の部品も小さくなり、部品同士がこすれ合う摩擦の抵抗を減らすことができる。
摩擦が減れば、それだけエネルギーの損失を抑えることが可能となるだけでなく、エンジンそのものが軽くコンパクトになるため、クルマ全体の重量を軽くする効果も期待できる。

しかし、単に排気量を小さくしただけでは、クルマを快適に走らせるための力が少し足りなくなることも珍しくない。そこで活躍するのが、排気ガスの勢いを利用して空気を圧縮し、エンジンに送り込むターボのしくみである。
ダウンサイジング設計にターボを組み合わせることで、小さな排気量であっても、発進時や加速時など力が必要な場面でパワーを補うことができる。
つまり、普段の街乗りでは小さなエンジンのように控えめな燃料で走り、力が必要な時だけターボの力で大きなエンジンと同じような働きをするというわけだ。
排気量を下げて摩擦を減らしつつ、必要な力だけをターボで補うのが現代のエンジンのひとつのあり方となっている。

このように、現代のターボは単に出力を高めるための装置ではなく、燃料を効率よく使うための道具へと役割を変化させており、走りのよさを保ちながら、同時に環境性能を両立させた進化の形といえる。
直噴技術の導入や細やかな制御、そしてダウンサイジングという新しい考え方により、ターボ車はエコカーの選択肢のひとつとなっているのだ。
昔のイメージにとらわれず、最新の技術がもたらす効率化のしくみを理解することも大切なのかもしれない。
