そもそもスペシャリティカーって何?
1960年代、米国ではスペシャリティカーと呼ばれたフォードの「マスタング」やシボレー「カマロ」が、美しいスタイリングとスポーティな走りを両立させたコンパクトなスペシャリティカーとして人気を博していた。スペシャリティカーとは、スポーティカーほどの性能を持っていないものの、スポーティな走りが楽しめてスタイリッシュな(多くは)2ドアクーペを指すが、明確な定義があるわけではない。
日本初のスペシャリティカーは、1970年12月に“全く新しい種類の乗用車、わが国初の本格的なスペシャリティカー“を謳って登場した初代「セリカ」とされている。セリカは若者層を中心に大ヒットし、トヨタはそのブームを加速するために2代目となる「セリカ」を投入。
一方の日産自動車は、日産初の本格的なスペシャリティカーとして3代目「シルビア」を市場に放った。
人気の初代セリカの対抗馬になれなかった2代目シルビア

初代「セリカ(A20型)」は、国産車初のスペシャリティカーとして1970年12月にデビューした。ボディと一体化した前後バンパー、ロングノーズに豊かなボディの張り、全体をジェット機の層流翼を意識した断面形状をベースにしたピラーレスハードトップのスタイルリングは、これまでの日本車にはない新鮮さに溢れていた。

なかでも、1.6Lツインキャブ仕様のDOHC+5速MTを搭載した最強モデル「1600GT」は、最高速190km/hという圧倒的な速さを誇り多くの若者から支持された。


一方、日産はヒット中のセリカを意識して2代目「シルビア(S10型)」を1975年10月にデビューさせた。2代目シルビアは、初代の高級路線から曲線を多用した躍動感のあるアメ車風クーペに変貌したが、外観の大胆な変貌の割にはメカニズムに先進性が感じられず、際立った特徴がアピールできずに販売は振るわなかった。


2代目シルビアはセリカの勢いを脅かすことなく、僅か3年半で3代目にモデルチェンジし、本命の3代目が登場したのだ。
エアロデザインと多彩な車種展開を図った2代目セリカ

日本のスペシャリティカー市場を切り開いたセリカだったが、さすがに1970年代中盤に入るとライバルの出現などもあり販売シェアは下降し始めた。そんな状況の中で、1977年8月に2代目へとモデルチェンジした。

注目は、米国トヨタがデザインした“答えは風の中にある”のキャッチコピーが冠せられたスタイリングだった。スラントノーズに三次曲面のウインドウ、空力を追求したエアロダイナミクスボディで、通称“ダルマ”と呼ばれた初代の曲線的なボディラインから、直線を取り入れたデザインに変更された。
ボディはひと回り大きくなり、ボディタイプは先代と同じ2ドアクーペと3ドアリフトバックの2種。車種展開は、クーペが33タイプ、リフトバックが31タイプの計64車型と、豊富なラインナップが用意された。また、初代のピラーレスハードトップから、安全を考慮してピラー付のピラードハードトップに変更された。
エンジンは、初代の1.6Lと2.0Lに1.8Lが追加され、最高出力90ps/最大トルク13.0kgm&90ps/13.3kgm、110ps/14.5kgmの1.6L 直4 OHV、98psの1.8L 直4 SOHC、100ps/15.5kgmの2.0L 直4 SOHC、130ps/17.0kgmの同DOHCと、多彩なラインナップが用意された。トランスミッションは、4速/5速MTおよび3速ATが組み合わされ、駆動方式はFRが踏襲された。
車両価格は104.5万~167.3万円。当時の大卒初任給は10.2万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約236万~377万円に相当する。セリカは2代目となり、日本ではデザインに好き嫌いが分れて人気はやや減速したが、海外では手頃なスペシャリティカーとして引き続き人気だった。
本格的なスペシャリティカーを謳って登場した3代目シルビア

2代目セリカの発売から2年後の1979年3月、“1980年代に向けた本格的な小型スペシャリティカー”と称し、3代目「シルビア」が兄弟車「ガゼール」とともにデビューした。
3代目シルビアは、スペシャリティカーに相応しい直線基調のウェッジシェイプを採用。低いノーズラインと角目4灯のフロントマスク、傾斜したフロントウインドウ、リアのオペラウインドウが個性を発揮。インテリアは透過照明のインパネやムーディなランプなど、ドライブを盛り上げる演出がされた。
ボディタイプは、当初2ドアノッチバックのハードトップのみだったが、8月にはハッチバッククーペも追加。車種展開は、ハードトップが16タイプ、ハッチバックが15タイプと計31車型が用意された。
パワートレーンは、最高出力105ps/最大トルク15.0kgmを発揮する1.8L 直4 SOHC、120ps/17.0kgmの2.0L 直4 SOHCの2種エンジンと、4速/5速MTおよび3速ATの組み合わせ。駆動方式は先代同様FRが設定された。その後ターボモデルやR30スカイラインと同じ4バルブDOHCエンジンを追加して走りに磨きがかけられた。
車両価格は、108.5~158.5万円。当時の大卒初任給は10.9万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で約229万~334万円に相当する。
シャープなスタイリングとお洒落なインテリアが多くの若者に支持された3代目シルビアは、日産を代表するスペシャリティカーへ成長。また、デートの際に女性が好むクルマ“デートカー”の元祖として人気モデルとなったのだ。
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初代セリカに引き続いて、スペシャリティカートップの座に君臨するかと思えた2代目セリカだったが、3代目シルビアの登場でその座は安泰ではなかった。販売ではシルビアが上回ったのだ。1981年7月には、セリカは3代へとモデルチェンジし、1982年11月にはホンダ2代目「プレリュード」がデビューし、日本のスペシャリティカー(デートカー)市場は稀に見る活況を呈することになった。












